はじめに-システムトレードとは?-
このサイトは、MQL5というプログラミング言語を使って、FXを始めとした各種金融商品の自動売買プログラム(=エキスパートアドバイザー/通称EA)を作る方法を情報として発信しているのですが、
「そもそもシステムトレードって何?」という方も中にはいらっしゃるかもしれません。
あるいは漠然としたシステムトレードに関する知識やイメージはあるものの、具体的にどうやってシステムトレードを始めたらよいのかわからない、という人も少なからずいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、システムトレードが何であるか?を初心者の方にもわかりやすく解説していきたいと思います。
システムトレードは、簡単に言えば、
事前に設定されたルールに基づいて自動で取引を行う方法です。
金融取引にシステムトレードを導入することにより、感情に左右されることなく、効率的で客観的なトレーディングが可能になります。
しかしながら、システムトレードには特有のリスクや注意点も存在します。
この記事では、「そもそもシステムトレードとは何か?」という所からスタートし、その基本概念や、システムトレードのメリットとデメリット・注意すべきポイント、さらには実際にシステムトレードを始めるための基本的なガイドラインを提供します。
トレーディングの自動化に興味がある方、またはその効率性を高めたい方にとって、この記事は貴重な第一歩となるでしょう。
システムトレード未経験者の方に向けてわかりやすい説明を心掛けましたので、是非楽しみながら読んでいただき、この記事がシステムトレードを始める取っ掛かりとなれば幸いです。
システムトレードの基本概念
システムトレードはトレーディングの自動化に重点を置いたアプローチです。
取引を行う際に人の判断を介さず、事前に定義されたルールを設定し、そのルールに基づいて自動でひたすら淡々と取引を行います。
この「事前に定義されたルール」には、特定の市場の状況や価格の動きに応じて、売買のタイミングをコンピュータプログラムが判断し、実行するというプロセスが含まれます。
このような取引プロセスにはどんなメリットがあるのか、次はそれを挙げていきたいと思います。
システムトレードのメリット
このシステムトレードの大きなメリットは、取引に感情や個人的な偏見が影響しにくいため、常に一定のルールに従って取引できるという点です。これにより、取引の判断が一貫して客観的に行えるようになります。
また、システムトレードの重要な側面の一つが「バックテスト」です。
バックテストとは、過去の市場データに基づいて、トレーディング戦略の有効性を検証するプロセスの事です。バックテストを行う事により、これから採用しようとしている取引戦略が過去の市場状況にどのように反応したかを知ることができます。
これにより、その戦略が将来も成功する可能性があるかどうかの手がかりを得ることができます。
※バックテストについては↓の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください
システムトレードは、市場分析の深い知識を持つトレーダーにとっては特に魅力的です。
なぜなら、自動化されたシステムは複雑な市場分析を瞬時に実行できる訳ですから、もし優れた市場分析結果を取引システムに落とし込む事ができれば、取引自体の一切をそのシステムに任せ、トレーダーはより戦略的な意思決定に集中する事もできるからです。
ただし、その一方でシステムトレードにはデメリットや注意点もいくつか存在します。次のセクションはシステムトレードにおけるいくつかの懸念事項について考えていきたいと思います。
システムトレードのデメリットや注意点
デメリットとして挙げられる点としては、システムトレードを行うには複雑なシステムを理解し、常に良い状態に保つ必要がある、という事でしょうか。
これは、「トレーディングを自動化するための技術や設定」が複雑で、適切に管理するためには、かなりの時間と労力が必要だということを意味します
※「トレーディングを自動化するための技術や設定」とは具体的には以下のようなものを主に指します
- アルゴリズムトレーディング: トレーディング戦略をコンピュータプログラムによって自動実行する技術。市場のデータを分析し、事前に定義された条件に基づいて取引を行うまでの設定をとど凝りなくできる能力を指します。
- プログラミング言語: 自動トレーディングシステムを構築するために、特定のプログラミング言語(例:MQL4/MQL5、Python、C++など)の知識が必要です。これらの言語を使用して、市場のデータを分析し、取引のルールをコーディングします。
- バックテストソフトウェア: 過去の市場データを用いてトレーディング戦略の有効性をテストするソフトウェア。バックテストを自在に行えるようになる事で、戦略が実際の市場環境でどのように機能するかを評価できます。
これらの技術を組み合わせることで、トレーダーは市場の動きを24時間監視し、迅速かつ効率的に取引を行うことが可能になる自動トレーディングシステムを構築できるわけですが、システムトレードにこれから取り組もうという人がこれら全てを習得し、自在に扱えるようになるのは言うまでもなく容易ではありません。
システムトレード初学者が直面する上記の問題に対処するための解決法としては、まず基礎から始めることが重要です。焦っていきなり、すべてを理解しようとする必要はありません。
ステップバイステップで少しずつできる事を増やしていけば、それがやがてシステムトレードの複雑さを理解し、適切に管理できる道に繋がります。
当サイトはそのシステムトレード構築言語として最高峰にパワフルなプログラミング言語MQL5を使って自動売買システムを自作できるようにする為の情報発信を行っています。
<MQL5でEAを作ろう講座>というメインコンテンツがあり、プログラミングの基礎的な概念からこれ以上ないくらい丁寧な解説をしているので、第0回から順に読んで勉強していけば誰でもEA(自動売買プログラム)を作れるように書いていますので宜しければご覧ください。
講座記事は【言語基礎編】、【中級実際にEAを作ろう編】、【発展編・MT5用EAを作る工程をカスタマイズしていく】、【クライマックス編・これまでにやってきたことを全て使ってEAを完成させる】に分かれており、レベル別に段階的かつ網羅的にシステムトレードを自力で構築する力を習得できるような構成となっておりますので興味があればご覧ください。
システムトレードの始め方
それでは、システムトレードを始めるための具体的なステップを見ていきましょう。
金融市場の基本的な知識を学ぶ
「え?そこから?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、大前提としてシステムトレードは資産を無限に生み出す魔法の杖ではありません。
システムトレードに必要な知識の基礎を学ぶことは大事なのですが、そもそも論として金融市場の基本的な仕組み、トレーディング戦略の種類、そして最も重要なこととして、リスク管理についての理解が十分でない場合、まだシステムトレードに着手する段階ではないでしょう。
株式・商品先物・FX等、自分が挑戦しようとしている市場についての勉強をインターネット情報や書籍を通じてしっかり行い基本をしっかりと把握する必要があります。
システムトレード用のソフトウェアを選択する
次に、システムトレード用のソフトウェアを選択します。
市場に応じた様々なトレーディングプラットフォームがありますので、自分のニーズに合ったものを選ぶ必要があります。重要なのは、使いやすさ、機能性、サポート体制、そしてコストのバランスです。初心者の方には、使いやすいインターフェースと基本的な機能を備えたソフトウェアがお勧めです。
例えば当サイトで情報発信しているプログラミング言語、MQL5を用いて自動売買プログラムを開発する場合、それを実行するトレーディングプラットフォームはメタトレーダ5(MT5)というソフトウェアになります。
MT5は基本的に無料で利用できるプラットフォームですが、その使いやすいインターフェースと、初心者から上級者まで幅広いニーズに応える機能性で知られています。
さらにMT5は、自動トレーディングシステムの開発と実行に特化しており、多様な分析ツールと高度なチャート機能を提供しています。
MT5に興味のある方は下記の記事群を参考にして頂ければと思います。
- MQL5 EA講座 第0回「MQL5を使ったMT5用EAの作り方」
- MQL5 EA講座 第1回「メタトレーダー5とメタエディター5のダウンロード」
- MQL5 EA講座 第2回「メタエディターの使い方」
プラットフォームに応じたプログラミング言語を習得する
システムトレード用のソフトウェアを選んだ後、そのプラットフォームに応じたプログラミング言語の習得も重要なステップとなります。ほとんどのトレーディングプラットフォームは、その独自のプログラミング言語を使用して自動トレーディングシステムを構築します。たとえば、メタトレーダ5(MT5)では、MQL5という言語が使用されています。
プログラミング言語を学ぶことは、自分だけのカスタマイズされたトレーディング戦略を作成するために不可欠です。これにより、市場の動きに合わせて自動で取引を行うシステムを構築し、管理することができます。また、プログラミングスキルは、システムの微調整や改善、さらには新しい取引戦略の開発にも役立ちます。
多くのトレーディングプラットフォームは初心者向けのリソースやチュートリアルを提供しており、基本から学べるようになっています。
加えて、オンラインのコミュニティやフォーラムを利用することで、経験豊富なトレーダーや開発者から直接サポートを受けることも可能です。
当サイトの<MQL5でEAを作ろう講座>ではプログラミングの初歩の初歩から始まり、最終的に自力でMQL5で自動売買プログラムを自力で作れるようになるまでの解説を完全無料で提供しておりますので、システムトレードを始めたい方はご覧頂ければと思います。
トレーディング戦略を選定する
トレーディングプラットフォーム、及びプログラミング言語が決まったら、そこに落とし込んで実行するためのトレーディング戦略を考案・選定します。
トレーディング戦略を選ぶ際には、自分のトレーディングスタイルと目標に合致するものを選ぶことが重要です。
スイングトレーディング、デイトレーディング、スキャルピングなど、さまざまなスタイルから選ぶことができます。また、市場の分析方法についても学び、どのような市場条件で戦略が最も効果的かを検証していきます。
またトレーディング戦略を選ぶ際には、自分のトレーディングスタイルと目標だけでなく、リスク管理も考慮することも必要です。
トレードには様々なスタイルがありますが、それぞれリスクとリターンのバランスが異なります。
戦略を選ぶときは、自分の快適なリスクレベルと投資目標に適合しているかを検討しましょう。
市場の動きに適応しつつ、潜在的なリスクを管理することも成功へのカギとなります。
バックテストとフォワードテストを行い、戦略の有効性を確認する
トレーディング戦略が決まり、その戦略を無事プログラミングに落とし込む事ができたら、次はバックテストとフォワードテストを行い、戦略の有効性を確認していきます。
この段階は、システムトレードを成功させるための重要なプロセスです。
バックテストについては冒頭でも軽く触れたのですが、過去の市場データを用いて、選択したトレーディング戦略が過去にどのようなパフォーマンスを示したかを検証する方法です。
これにより、戦略の強みと弱みを理解し、市場条件に対する反応を見ることができます。バックテストの詳しい手法や重要性については↓の記事をご覧ください。
・システムトレーダーの為のゼロから始めるバックテスト完全ガイド: 効果的な戦略の構築と分析
次に、フォワードテストの重要性についてです。
フォワードテストは、バックテストとは異なり、現実の市場環境で戦略をテストする方法です。このプロセスでは、現在および未来の市場条件のもとで戦略がどのように機能するかを評価します。
フォワードテストに関するさらに詳細な情報は↓の記事で詳しく解説しています。
これら二つのテストを行うことで、システムトレードに採用しようとしている戦略が、実際の市場で利益を見込めるかどうか、総合的かつ客観的に検証することができます。
バックテストとフォワードテストで、戦略の調整と最適化を繰り返しながら、長期的に安定したトレーディングシステムを構築するための基盤を築くことを目指します。
実際の口座で運用をスタートさせる前に、デモ口座でテスト運用させる
バックテストとフォワードテストの結果、システムトレードに採用しようとしている戦略が、実際の市場で利益を見込める見通しが立ったら、実際の口座で自動売買プログラムの運用をスタートさせる前に、デモ口座でテスト運用します。この段階では、実際の資金をリスクにさらすことなく、システムの効果を試す最終段階と言えます。ここで特に問題がなければ晴れて実際の口座・実際の資金を用いて運用開始となります。
一般的に、デモ口座の開設は簡単です。ほとんどのトレーディングプラットフォームやブローカーのウェブサイトでは、基本情報の入力と数ステップの手続きを経てデモ口座を開設できます。開設後は、実際の市場データを使用しながらも、仮想資金を使ってトレーディングを行うことができます。
メタトレーダ5(MT5)をトレーディングプラットフォームを選択する場合も、デモ口座は非常に有用です。
MT5でデモ口座を開設する手順は、各MT5対応ブローカーの公式サイトやアプリケーション上で直感的に行え、多くの場合、メールアドレスや最低限の個人情報の提供で完了します。
※デモ口座開設方法に関しては↓の記事をご参照ください。具体的なデモ口座開設手順について詳しく説明しています。
※おススメのメタトレーダ5(MT5)対応FX業者について知りたい方は下記の記事をご参照ください↓
まとめ
この記事では、システムトレードの世界について幅広く解説してきました。
まず「はじめに-システムトレードとは?-」セクションで、自動売買システムの基本的な概念を紹介しました。この基礎知識は、システムトレードを理解する上で不可欠です。詳細はセクション内でさらに掘り下げていますので、必要であれば立ち戻ってお読みいただければと思います。
次に、「システムトレードの基本概念」セクションでは、システムトレードのメリットやシステムトレードのデメリットや注意点についても言及しています。
「システムトレードの始め方」セクションでは、初心者の方がシステムトレードで市場に参入するための具体的なステップを案内しました。
具体的には、まず金融市場の基本知識を身に付け、その後適切なトレーディングソフトウェアの選定し、そのプラットフォームに応じたプログラミング言語の習得、そして相場に挑むための戦略の選定について詳しく説明しています。
各ステップについては
セクションをご参照ください。
そして、「バックテストとフォワードテストを行い、戦略の有効性を確認する」セクションでは、戦略が実際の市場でどのように機能するかを見極める方法について解説しています。
また、「実際の口座で運用をスタートさせる前に、デモ口座でテスト運用させる」セクションでは、リアルマネーを投入する前の最終的なチェックとして、デモ口座でテストする事の重要性に焦点を当てています。
システムトレードは、現代のトレーディングにおいて非常に重要な要素と言えるでしょう。
システムトレードは戦略を機械的に実行し、感情を排除することで、一貫性のあるトレーディングを可能にします。
しかしながら、システムトレードを成功させるには、適切な知識と準備、そして継続的な学習と調整が必要です。
この記事を通じて、システムトレードの道を歩むための指針を提供できたのであれば幸いです。
今回は以上とさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※当サイトでは、プログラミング経験ゼロの方でも、プログラミングの基礎から学べる
をメインコンテンツとして展開しています。
→【クライマックス編・これまでにやってきたことを全て使ってEAを完成させる】
第0回から、順を追って勉強していけばプログラミングの経験がなくてもMQL5を使って、MT5用のEAが作れるように書いています。最初は難しいと感じるかもしれませんが、繰り返し勉強していく事で自然とスキルが身についていくはずです。興味ある方は是非ご覧ください。