【MQL5】ArrayInsert関数について

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ArrayInsert関数の働き・役割

ArrayInsert関数は、ある配列要素を別の配列に挿入するために使用されます。指定したインデックスから挿入が始まり、指定された数だけ要素が追加されます。挿入された要素は、元の配列内の要素を右に押し出し、最後の要素が置き換わる場合があります。

この関数は、特定の位置に他の配列のデータを追加したい場合に便利で、配列サイズを変更せずに要素を挿入する際に使用されます。

ArrayInsert関数の引数について

bool  ArrayInsert(
  void&        dst_array[],          // 挿入先の配列
  const void&  src_array[],          // 挿入元の配列
  uint        dst_start,            // 挿入先の配列に挿入されるインデックス
  uint        src_start=0,         // 挿入元の配列でコピーするインデックス
  uint        count=WHOLE_ARRAY     // 挿入する要素数
  );

ArrayInsert関数は、次の引数を受け取ります。

dst_array

挿入先の配列です。この配列に、指定されたデータが挿入されます。配列の型は任意で、整数型や文文字列型など、さまざまな型の配列に対応しています。

src_array

挿入する元の配列です。この配列から要素が取得され、指定された位置に挿入されます。

dst_start

挿入先の配列の中で、どの位置に要素を挿入するかを指定するインデックスです。0から始まるインデックスで指定します。たとえば、dst_startが4の場合、配列の5番目の要素から挿入が始まります。

src_start(初期値は0)

挿入する元の配列の中で、どの位置から要素をコピーするかを指定するインデックスです。デフォルトでは0から始まりますが、特定の位置からコピーを始めたい場合は、任意のインデックスを指定できます。

count(初期値はWHOLE_ARRAY)

挿入する要素の数を指定します。初期値WHOLE_ARRAYが指定されている場合は、元の配列の指定された位置から最後までのすべての要素が挿入されます。

ArrayInsert関数の戻り値について

ArrayInsert関数戻り値は、操作が成功した場合はtrue、失敗した場合はfalseです。エラーが発生した場合、GetLastError関数を使用して詳細なエラー情報を取得することができます。

ArrayInsert関数を使ったサンプルコード

//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリプトプログラムの開始時に自動的に呼び出される関数          |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
  {
   //--- 挿入先の配列(10個の要素を持つ固定サイズの配列)を宣言し、値を初期化
   int array_dest[10];

   //--- 挿入先の配列に0から9までの値を順番に代入
   for(int i=0; i<10; i++)
     {
      array_dest[i] = i;  // iの値を配列に代入
     }

   //--- 挿入元の配列(10個の要素を持つ配列)を宣言し、値を初期化
   int array_source[10];

   //--- 挿入元の配列に10から19までの値を順番に代入
   for(int i=0; i<10; i++)
     {
      array_source[i] = 10 + i;  // 10+iの値を配列に代入
     }

   //--- ArrayInsert関数を呼び出す前に配列の内容を表示
   Print("ArrayInsert関数を呼び出す前の配列の内容:");
   ArrayPrint(array_dest);  // 挿入先の配列の内容を表示
   ArrayPrint(array_source);  // 挿入元の配列の内容を表示

   //--- 挿入元の配列の0番目から3つの要素を、挿入先の配列の4番目に挿入
   ArrayInsert(array_dest, array_source, 4, 0, 3);

   //--- ArrayInsert関数を呼び出した後の配列の内容を表示
   Print("ArrayInsert関数を呼び出した後の配列の内容:");
   ArrayPrint(array_dest);  // 挿入先の配列の新しい内容を表示
  }
  1. array_dest[10]
    挿入先の配列です。サイズ10の固定サイズ配列で、0から9までの値が代入されています。
  2. array_source[10]
    挿入元の配列です。こちらもサイズ10の配列で、10から19までの値が順番に代入されています。
  3. ArrayInsert(array_dest, array_source, 4, 0, 3)
    挿入元の配列から0番目から3つの要素(10, 11, 12)を、挿入先の配列の4番目の位置に挿入します。この操作によって、挿入された位置以降の要素は右にシフトされ、挿入先の配列の最後の要素が消えることになります。
  4. ArrayPrint
    配列の内容をエキスパートログに出力するための関数です。挿入前後の配列の変化を確認するために使用されています。

サンプルコードに使われた関数や文法要素の解説

OnStart関数

OnStart関数は、スクリプトが実行されたときに最初に呼び出される関数です。この関数の内部に、配列の準備とArrayInsert関数の操作が行われています。スクリプトは一度実行されるとこの関数内の処理を完了して終了します。

配列の宣言と初期化

まず、int型配列を2つ宣言しています。array_destは、挿入先の配列で、10個の要素を持ちます。array_sourceは、挿入するデータを保持する配列で、同じく10個の要素を持っています。

次に、forループを使って、これらの配列に値を代入しています。forループは、0から9までの数値を順番に処理し、array_destには0から9までの値が代入され、array_sourceには10から19までの値が代入されます。

Print関数

Print関数は、メッセージをエキスパートログに表示するための関数です。ここでは、配列の内容を確認するために使用されています。挿入操作の前後で配列の状態を表示するため、”ArrayInsert関数を呼び出す前の配列の内容:”というメッセージとともに、array_destとarray_sourceの内容が表示されます。

ArrayPrint関数

ArrayPrint関数は、配列の内容を整った形式でエキスパートログに出力するための関数です。array_destやarray_sourceの配列の内容がどのように変わったかを確認するのに使われます。挿入前後の配列の中身を見やすい形で出力します。

ArrayInsert関数

ArrayInsert関数は、指定した位置に別の配列要素を挿入するための関数です。サンプルコードでは、array_sourceの0番目から3つの要素(10, 11, 12)をarray_destの4番目に挿入しています。この操作により、array_destの4番目以降の要素は右にシフトされ、元の4番目、5番目、6番目の要素(4, 5, 6)が10, 11, 12に置き換わります。

forループ

forループは、配列要素に順番にアクセスして、値を代入するために使用されています。サンプルでは、array_destとarray_sourceそれぞれの配列に0から9、10から19までの値を代入するために使われています。

配列

配列は、複数の値を一つの変数で管理するデータ構造です。ここでは、int型配列を使い、10個の整数値を格納しています。配列要素にアクセスする際は、配列名とインデックス(0から始まる番号)を使用します。例えば、array_dest[0]は配列array_destの1番目の要素(0番目のインデックス)にアクセスします。

挿入操作

ArrayInsert関数の呼び出しによって、array_sourceの0番目から3つの要素がarray_destの4番目の位置に挿入されます。この操作の結果、array_destの要素が変わり、array_destの4番目から6番目の要素は、array_sourceの最初の3つの要素で置き換えられます。

ArrayInsert関数を使ってEAを作る際のアイディア

過去の価格データを管理する

トレードシステムでは、過去の価格データを管理することが重要です。ArrayInsert関数を使って、新しい価格データが取得されるたびに、古いデータを押し出し、最新の価格を先頭に追加する方法が考えられます。これにより、過去一定期間のデータを常に保持しつつ、新しいデータを効率よく追加することが可能です。

移動平均やその他インジケータの動的なデータ更新

移動平均線や他のテクニカルインジケータの計算において、一定の期間のデータを使用することが多いです。ArrayInsert関数を使って、新しい価格やインジケータ値を常に最新の位置に挿入することで、古いデータを自動的に削除し、動的に最新データを反映させることができます。これにより、移動平均線やオシレーターのようなインジケータをリアルタイムに更新することが可能です。

トレード履歴の管理

EAでトレードを行う際、過去の取引データを効率的に管理することが求められます。ArrayInsert関数を使えば、直近のトレード履歴を配列の先頭に挿入し、常に最新のトレードデータを保持できます。この方法を用いると、過去の取引結果に基づいた統計や分析がリアルタイムで行いやすくなります。

サイン検出のためのパターン保存

EAが特定のパターンをトレードシグナルとして検出する場合、そのパターンを配列に保存して管理する方法があります。ArrayInsert関数を使うことで、新しいシグナルデータを常に最新位置に追加し、古いデータを削除しながら特定のパターンを監視することができます。これにより、リアルタイムでパターンを検出し、迅速にトレードサインを発行できます。

データ解析とバックテストの効率化

バックテストやデータ解析の際にもArrayInsert関数を使用することが可能です。データセットに対して特定の期間のデータを動的に追加しながら分析を行うことで、過去のデータを遡ってパフォーマンスを評価したり、パターンを解析したりすることが効率的になります。

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