- CalendarValueLast関数の働き・役割
- CalendarValueLast関数の引数について
- CalendarValueLast関数の戻り値について
- CalendarValueLast関数を使う際の注意点
- CalendarValueLast関数を使ったサンプルコード
- サンプルコード解説1: グローバル領域部分
- サンプルコード解説2: OnInit関数部分
- サンプルコード解説3: OnDeinit関数部分とOnTick関数部分
- サンプルコード解説4: OnTimer関数その1
- サンプルコード解説5: OnTimer関数その2
- サンプルコード解説6: OnTimer関数その3
- サンプルコード解説7: OnTimer関数その4
- CalendarValueLast関数を使ってEAを作る際のアイディア
CalendarValueLast関数の働き・役割
CalendarValueLast関数は、指定された変更ID(change_id)を基に、経済指標カレンダーのデータベースから最新の経済イベント情報を取得するためのものです。
この関数を使用することで、国や通貨で絞り込んだイベントデータを配列として受け取ることができます。
例えば、ある国の重要な経済ニュースが発表される際、その情報を自動的に取得して処理することが可能です。この関数を活用することで、トレードに影響を与える重要な経済イベントを効率的に監視することができます。
具体的には以下のような役割を果たします:
- 経済指標カレンダーの最新データを取得します。
- 国コードや通貨コードを指定して、特定の条件に合ったデータだけを絞り込みます。
- データを配列形式で取得し、それを基に自動売買プログラムや通知機能などを実現できます。
例えば、米国のドルに関連する経済イベントを監視する場合に、この関数を使用して関連データを取得し、そのデータを元にトレードの判断を行うといった使い方が考えられます。
CalendarValueLast関数の引数について
CalendarValueLast関数には、以下の4つの引数があります。それぞれの引数には特定の役割があり、正確に設定することで必要なデータを取得することができます。
第一引数: change_id
この引数は、変更IDを扱います。最初は0を渡すことで、現在のデータベースの変更IDを取得します。この変更IDは、次回以降の呼び出し時に新しいデータがあるかどうかを判断するために使用されます。
変更IDは「参照渡し」で扱われます。そのため、関数の実行後、最新の変更IDがこの変数に格納されます。
第二引数: values[]
この引数は、経済イベントの値を受け取るための配列です。MqlCalendarValue構造体型の配列で、関数呼び出し後に取得したデータが格納されます。
例えば、この配列には以下のような情報が含まれます:
- 実際の値(actual_value)
- 予想値(forecast_value)
- 過去の値(prev_value)
この配列を事前に十分なサイズで用意しておく必要があります。
第三引数: country_code
この引数はオプションで、特定の国のデータだけを取得したい場合に使用しますISO3166-1 alpha-2形式の国コード(例: “US” や “JP”)を文字列として指定します。
NULLを指定するか省略した場合、国による絞り込みは行われません。
第四引数: currency
この引数もオプションで、特定の通貨に関連するデータを取得したい場合に使用します。通貨コード(例: “USD” や “JPY”)を文字列として指定します。
こちらもNULLを指定するか省略すると、通貨による絞り込みは行われません。
引数を適切に設定することで、必要な情報を効率的に取得することが可能です。特に、国コードと通貨コードを組み合わせることで、条件をさらに細かく絞り込むことができます。
CalendarValueLast関数の戻り値について
CalendarValueLast関数は、取得した経済イベントデータの数を整数で返します。戻り値が0の場合は、該当するデータが取得できなかったことを示します。この場合、関数実行後のchange_idには現在のデータベースの変更IDが格納されます。
関数実行中にエラーが発生した場合は、戻り値として0が返され、詳細なエラー情報はGetLastError関数を使用して確認することができます。
以下に、主なエラーコードとその意味を示します。
- 4001 (ERR_INTERNAL_ERROR): 一般的な実行時エラーが発生しました。
- 4004 (ERR_NOT_ENOUGH_MEMORY): メモリ不足のため、処理を完了できませんでした。
- 5401 (ERR_CALENDAR_TIMEOUT): 経済指標カレンダーのリクエストが時間切れになりました。
- 5400 (ERR_CALENDAR_MORE_DATA): 配列のサイズが不十分で、すべてのデータを格納できませんでした。
配列サイズが不足していた場合は、ArrayResize関数を使用して配列のサイズを適切に拡張し、再度関数を呼び出す必要があります。
戻り値が正の値の場合、その数値は配列に格納されたデータの件数を示します。この場合、values配列に取得された経済イベント情報が格納されます。また、change_id
には新しい変更IDが設定され、次回以降の呼び出しで新しいデータを効率的に取得するために使用できます。
正しい戻り値の確認とエラー処理を適切に行うことで、関数の活用をより安定したものにすることができます。
CalendarValueLast関数を使う際の注意点
経済指標カレンダーは取引サーバの時間を基準にする
この関数が返すデータに含まれる時刻情報は、ユーザーの現地時間ではなく、取引サーバの時間を基準としています。そのため、現地時間とのズレがある場合には、タイムゾーンの調整が必要です。
<参照>
配列サイズが不足している場合の対処
関数に渡すMqlCalendarValue構造体の配列サイズが不十分な場合、エラーコード5400(ERR_CALENDAR_MORE_DATA))が発生します。この場合、受け取れるデータが配列サイズ分だけに制限されてしまいます。このような場合は、ArrayResize関数を使用して配列サイズを拡張し、再度関数を実行する必要があります。
フィルタ条件の扱い
CalendarValueLast関数では、国コードと通貨コードを指定してデータを絞り込むことができます。ただし、これらの条件は「AND」の論理で適用されます。つまり、指定した国コードと通貨コードの両方に一致するデータだけが取得されます。
たとえば、「US」(アメリカ合衆国)という国コードと「EUR」(ユーロ)という通貨コードを指定した場合、アメリカとユーロの両方に関連するイベントデータのみが返されます。
しかし、一般的にはアメリカはドル(USD)を使用しているため、この条件に該当するデータはほとんどありません。このように、条件が厳しすぎると結果が取得できない場合があります。
また、国コードを「US」のみ指定し、通貨コードをNULL(指定なし)にした場合は、アメリカに関連するすべてのデータが返されます。同様に、通貨コードを「USD」のみ指定し、国コードをNULLにした場合は、ドルに関連するすべてのデータが返されます。
フィルタ条件を指定する際は、取得したいデータに合った適切な条件を設定するように注意しましょう。不必要に厳しい条件を指定すると、データが返されない可能性があるため、条件を簡略化するのも一つの方法です。
値のスケーリング
MqlCalendarValue構造体に格納される数値データ(例: 実際の値、予想値など)は、100万倍された形で保存されています。このため、数値をそのまま使用せず、取得した値を100万で割る必要があります。特に大きな数値を扱う際には注意が必要です。
値が指定されていない場合の確認
CalendarValueLast関数で取得するデータには、値がまだ設定されていないことがあります。この場合、MqlCalendarValue構造体の中にある数値フィールド(実際の値や予想値など)には、LONG_MIN(-9223372036854775808)という特別な値が格納されています。この状態のまま値を使用すると、間違った結果を出してしまうことがあります。
具体例
例えば、経済ニュースで発表される「失業率」のデータを取得したとしましょう。しかし、サーバからまだその情報が送られてきていない場合、その「失業率」の値はLONG_MINになっています。この状態を知らずに計算や表示に使おうとすると、次のようなおかしな結果になってしまいます。
plaintextコードをコピーする取得した失業率: -9223372036854775808
計算結果: 失業率 × 100 = -922337203685477580800%
その為、この値がLONG_MINであるかどうかをチェックして、データがまだ利用できない状態であることを確認する必要があります。
CalendarValueLast関数を使ったサンプルコード
#property description "CalendarValueLast関数を使用した例"
#property description "経済カレンダーイベントリスナーを開発するためのサンプルです。"
#property description "これを実現するには、現在のカレンダー変更IDを取得し、"
#property description "そのIDを使用して、タイマー調査を通じて新しいイベントのみを受け取ります。"
//+------------------------------------------------------------------+
//| エキスパート初期化関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
int OnInit()
{
//--- タイマーを60秒間隔で設定する
EventSetTimer(60);
//--- 初期化成功を返す
return(INIT_SUCCEEDED);
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| エキスパート終了時に呼び出される関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnDeinit(const int reason)
{
//--- タイマーを解除する
EventKillTimer();
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| エキスパートのティックごとに呼び出される関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnTick()
{
//--- このサンプルではティック時の処理は行わない
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| タイマーイベントが発生した際に呼び出される関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnTimer()
{
//--- カレンダーデータベースの変更ID(最初は0で初期化)
static ulong calendar_change_id = 0;
//--- 初回実行のフラグ(初期値はtrue)
static bool first = true;
//--- イベントデータを受け取るためのMqlCalendarValue構造体の配列
MqlCalendarValue values[];
//--- 初回実行時の処理
if (first)
{
//--- 現在のカレンダーデータベース変更IDを取得
if (CalendarValueLast(calendar_change_id, values) > 0)
{
//--- 現在の変更IDをログに出力
PrintFormat("カレンダーデータベースの現在の変更IDを取得: change_id=%d", calendar_change_id);
//--- 初回実行フラグをfalseにして終了
first = false;
return;
}
else
{
//--- データが受信されなかった場合のエラーチェック
int error_code = GetLastError();
if (error_code == 0)
{
PrintFormat("カレンダーデータベースの現在の変更IDを取得: change_id=%d", calendar_change_id);
first = false;
return;
}
else
{
PrintFormat("CalendarValueLast関数の実行に失敗しました。エラーコード: %d", error_code);
return;
}
}
}
//--- 前回の変更IDを保存
ulong old_change_id = calendar_change_id;
//--- 新しいカレンダーイベントを確認
if (CalendarValueLast(calendar_change_id, values) > 0)
{
//--- 新しいイベントの数をログに出力
PrintFormat("新しいカレンダーイベントを受信: イベント数=%d", ArraySize(values));
//--- values配列の内容をログに出力
ArrayPrint(values);
//--- 前回の変更IDと今回の変更IDを比較してログに出力
PrintFormat("前回のchange_id=%d, 新しいchange_id=%d", old_change_id, calendar_change_id);
//--- 新しいイベントの詳細をログに出力
ArrayPrint(values);
/*
ここでイベントごとの処理を実装します。
例えば、特定の指標や影響度に応じてトレードアクションを実行するコードを追加します。
*/
}
}
サンプルコード解説1: グローバル領域部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| エキスパート終了時の関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnDeinit(const int reason)
{
//--- タイマーを停止する
EventKillTimer();
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| ティックごとに呼び出される関数(今回は未使用) |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnTick()
{
//--- 処理なし
}
このコードのグローバル領域では、以下の要素が定義されています。
1. #property description
#property descriptionは、エキスパートアドバイザ(EA)の説明を設定するプロパティです。このプロパティは、EAをチャートに適用する際に表示されます。
このコードでは、CalendarValueLast関数を使った経済カレンダーイベントリスナーの例であることを説明しています。具体的には以下の内容を日本語で記載しています。
- 「CalendarValueLast関数を使用した例」
- 「経済カレンダーイベントリスナーを開発するためのサンプル」
- 「現在のカレンダー変更IDを取得し、そのIDを使用してタイマーで新しいイベントのみを受け取る方法」
これにより、コードの目的が明確になり、EAの意図を理解しやすくしています。
サンプルコード解説2: OnInit関数部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| エキスパート初期化関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
int OnInit()
{
//--- タイマーを設定する(60秒ごとにOnTimer関数を呼び出す)
EventSetTimer(60);
//--- 初期化成功を返す
return(INIT_SUCCEEDED);
}
OnInit関数は、エキスパートアドバイザがチャート上で実行を開始するときに最初に呼び出される関数です。この関数では、エキスパートアドバイザの初期化を行い、動作を開始するための準備を整えます。
関数内で最も重要な処理は、EventSetTimer関数を使用してタイマーを設定している部分です。このタイマー設定により、エキスパートアドバイザは一定の間隔でOnTimer関数を自動的に呼び出します。
タイマーを使用して、指定した間隔(この例では60秒)ごとにOnTimer関数を実行します。この間隔を設定することで、定期的な処理が可能になります。例えば、このコードでは、非農業部門就業者数の最新データを継続的に取得する仕組みを実現しています。
タイマーのパラメータとして渡される60は、タイマーが60秒間隔で動作することを示します。これにより、OnTimer関数が正確に1分ごとに呼び出されるようになります。
また、関数の最後で、初期化が正常に完了したことを示すINIT_SUCCEEDEDを返しています。この値を返すことで、エキスパートアドバイザが問題なく初期化されたことをMT5プラットフォームに通知します。
サンプルコード解説3: OnDeinit関数部分とOnTick関数部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| エキスパート終了時の関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnDeinit(const int reason)
{
//--- タイマーを停止する
EventKillTimer();
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| ティックごとに呼び出される関数(今回は未使用) |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnTick()
{
//--- 処理なし
}
OnDeinit関数部分
OnDeinit関数は、エキスパートアドバイザがチャート上から削除されるとき、または操作が終了するときに呼び出される関数です。この関数では、終了時の後片付けやリソースの解放などを行います。
このコードでは、タイマーを停止するためにEventKillTimer関数を呼び出しています。
タイマーが停止されないまま残ると、不要なリソースが消費されたり、不要なOnTimerイベントが発生したりすることがあります。タイマーを確実に停止することで、エキスパートアドバイザの終了後も安定した動作を維持できます。
引数reasonは、エキスパートアドバイザが終了する理由を示す値ですが、このコードでは具体的に使用されていません。必要に応じて、終了理由に応じた処理を追加することもできます。
サンプルコード解説4: OnTimer関数その1
//+------------------------------------------------------------------+
//| タイマーイベント関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnTimer()
{
//--- カレンダーデータベースの変更IDを保持する変数
static ulong calendar_change_id = 0;
//--- 最初の実行かどうかを判定するためのフラグ
static bool first_execution = true;
//--- イベントIDを保持する変数
static ulong event_id = 0;
//--- イベント名を保持する変数
static string event_name = NULL;
//--- カレンダーイベントの値を格納する配列
MqlCalendarValue values[];
OnTimer関数の役割
OnTimer関数は、タイマーイベントが発生するたびに自動的に呼び出されます。このエキスパートアドバイザでは、経済指標データを定期的に取得する処理を実装しています。関数内では、カレンダーイベントのデータを管理するための初期化やデータ取得の準備を行っています。
変数の解説
- calendar_change_id
- カレンダーデータベースの変更IDを保持する変数です。
- このIDは、前回取得したデータと現在のデータを比較する際に使用されます。
- staticとして宣言されているため、関数が再呼び出しされても値が保持されます。
- first_execution
- event_id
- 追跡対象のイベントのIDを保持します。
- このIDを使って特定のカレンダーイベントのデータを取得します。初期値は0に設定されています。
- event_name
- values
- カレンダーイベントのデータを格納する配列です。
- MqlCalendarValue構造体型の配列で、非農業部門就業者数の実際の値や予想値などが格納されます。
変数の特徴と役割
これらの変数は、タイマーイベントが発生するたびに更新やデータの取得に利用されます。特に、calendar_change_idやvalues配列は、データベースの変更内容を効率的に追跡するための重要な役割を果たします。また、first_executionフラグによって、初回のみ実行すべき処理と通常の処理を分ける設計がなされています。
サンプルコード解説5: OnTimer関数その2
//--- 初回実行時の処理
if (first)
{
//--- 現在のカレンダーデータベース変更IDを取得
if (CalendarValueLast(calendar_change_id, values) > 0)
{
//--- 現在の変更IDをログに出力
PrintFormat("カレンダーデータベースの現在の変更IDを取得: change_id=%d", calendar_change_id);
//--- 初回実行フラグをfalseにして終了
first = false;
return;
}
この部分のコードは、OnTimer関数内での初回実行時の処理を扱っています。この処理は、タイマーイベントが初めて発生したときに実行され、カレンダーデータベースの現在の変更IDを取得する役割を果たします。
初回実行フラグの確認
初回実行時であるかどうかを判定しています。このフラグは、firstがtrueである場合のみこのブロックが実行されることを保証します。
この仕組みにより、変更IDの取得処理が1回だけ実行され、以降のタイマーイベントでは通常の処理に移行するようになっています。
CalendarValueLast関数で変更IDを取得
CalendarValueLast関数を呼び出し、現在の変更IDを取得しています。この関数は、最新の経済イベントデータを受け取るための重要な役割を果たし、結果として現在の変更IDが変数に格納されます。
関数の戻り値が0より大きい場合、データの取得が成功したことを意味します。この条件を用いて、処理が成功した場合のみ、以下の手続きを進めています。
ログ出力
変更IDが正しく取得された場合、ログに記録します。
カレンダーデータベースの現在の変更IDを取得した旨を記録することで、プログラムが正しく動作しているかどうかを確認できます。ログを活用することで、トラブルシューティングを効率的に行うことが可能です。
初回実行フラグの更新
初回実行フラグを更新しています。これにより、次回以降のタイマーイベントではこの初回実行ブロックがスキップされ、通常のイベント処理が実行されるようになります。
処理の終了
関数を終了させています。これにより、初回実行の処理が完了した後に、通常のタイマー処理へ進まないようになっています。この設計は、初回実行時の特別な処理を安全に切り離すためのものです。
この部分は、タイマーイベントの最初の動作を確立し、以降のイベント処理をスムーズに行うための重要な初期化手続きとして設計されています。
サンプルコード解説6: OnTimer関数その3
else
{
//--- データが受信されなかった場合のエラーチェック
int error_code = GetLastError();
if (error_code == 0)
{
PrintFormat("カレンダーデータベースの現在の変更IDを取得: change_id=%d", calendar_change_id);
first = false;
return;
}
else
{
PrintFormat("CalendarValueLast関数の実行に失敗しました。エラーコード: %d", error_code);
return;
}
}
}
この部分のコードは、初回実行時の処理で、CalendarValueLast関数からデータが受信できなかった場合のエラーチェックと対応を行っています。
データ受信失敗時のエラーチェック
CalendarValueLast関数の戻り値が0だった場合、データの受信に失敗したと判断し、このelseブロックに入ります。ここでは、エラーの原因を調査するためにGetLastError関数を使用しています。
エラーコードの確認
GetLastError関数によって取得されるエラーコードが0であれば、重大なエラーではないと判断します。これは、データがまだ到着していない可能性があるため、特別なエラーではないことを意味します。この場合、現在の変更IDをログに記録し、初回実行フラグをfalseに設定して次回のタイマーイベントで処理を継続します。
ログ出力では、現在の変更IDを含むメッセージを記録し、プログラムが意図通りに動作していることを確認できるようにしています。
重大なエラー時の対応
GetLastError関数が0以外の値を返した場合は、CalendarValueLast関数の実行が失敗したと判断します。この場合、エラーコードをログに記録して問題の特定を行いやすくしています。
ログメッセージには具体的なエラーコードが含まれ、問題が発生した箇所を迅速に特定するのに役立ちます。
処理の終了
エラーチェックの後、returnによって関数を終了します。これにより、データ受信に失敗した場合でも、次回のタイマーイベントで再試行できるようになります。この設計により、プログラムがエラー時にも安定して動作を続けることが可能になります。
この部分は、エラーの発生時にプログラムが安全に処理を終了し、次回の実行でリカバリーを行えるようにするための重要な例外処理ロジックを提供しています。
サンプルコード解説7: OnTimer関数その4
//--- 前回の変更IDを保存
ulong old_change_id = calendar_change_id;
//--- 新しいカレンダーイベントを確認
if (CalendarValueLast(calendar_change_id, values) > 0)
{
//--- 新しいイベントの数をログに出力
PrintFormat("新しいカレンダーイベントを受信: イベント数=%d", ArraySize(values));
//--- values配列の内容をログに出力
ArrayPrint(values);
//--- 前回の変更IDと今回の変更IDを比較してログに出力
PrintFormat("前回のchange_id=%d, 新しいchange_id=%d", old_change_id, calendar_change_id);
//--- 新しいイベントの詳細をログに出力
ArrayPrint(values);
/*
ここでイベントごとの処理を実装します。
例えば、特定の指標や影響度に応じてトレードアクションを実行するコードを追加します。
*/
}
}
この部分のコードは、タイマーイベントが発生した際に新しいカレンダーイベントを確認し、それに基づいて処理を実行するロジックを実装しています。
前回の変更IDを保存
現在の変更IDをold_change_idという変数に保存しています。これは、後続の処理で変更IDの比較を行うためです。これにより、新しい変更IDが取得された際に、前回の変更IDとの差分を確認することができます。
新しいカレンダーイベントを確認
CalendarValueLast関数を呼び出して、最新のカレンダーイベント情報を取得します。この関数の戻り値が0より大きい場合、新しいイベントが取得されたことを意味します。その場合、この条件内の処理が実行されます。
新しいイベントの数をログに出力
PrintFormat関数を使って新しいイベントの数をログに記録しています。ArraySize関数を使って、values配列に格納されたイベント数を取得し、ログメッセージとして出力します。この情報は、新しく取得されたデータの量を確認するために役立ちます。
values配列の内容をログに出力
取得されたイベントデータをvalues配列に格納し、その内容をログに出力しています。ArrayPrint関数を使用することで、配列全体のデータを詳細に確認できます。この処理により、取得したイベントデータの中身を可視化できます。
変更IDの比較をログに出力
前回の変更IDと今回の変更IDを比較し、PrintFormat関数でそれをログに出力します。この処理は、どの程度のデータ更新が行われたのかを把握するために重要です。ログには変更IDの値が記録されるため、デバッグやトラブルシューティングにも活用できます。
イベントごとの処理
コメントで示されているように、この部分にカスタムの処理を実装することが可能です。例えば、特定の経済指標やその影響度に応じて、自動売買のトリガーとなるコードを追加することが考えられます。
この部分のロジックは、新しいイベントを効率的に取得し、その情報を活用するための基盤を提供しています。ログ出力と配列の操作を適切に行うことで、データの利用可能性を最大限に引き出しています。
CalendarValueLast関数を使ってEAを作る際のアイディア
CalendarValueLast関数は、経済カレンダーの最新データを取得し、それを自動売買システム(EA)に活用するための非常に強力なツールです。この関数を活用して構築できるEAのアイディアを以下にいくつか提案します。
アイディア1: 経済指標に基づくボラティリティトレード
経済指標が発表される際、市場は大きく変動することがあります。この関数を使って重要な経済イベント(例: 雇用統計、GDP、インフレ率)のデータを取得し、その影響度に応じて特定の通貨ペアをトレードするEAを作成できます。
アイディア2: 特定の国や通貨に絞ったトレード戦略
国コードや通貨コードで絞り込む機能を活用して、特定の国や通貨ペアに関連するイベントを監視します。例えば、米国(US)やユーロ(EUR)など、重要度の高いイベントのみを対象にする戦略を構築できます。
- 具体的な流れ:
- 米国関連の重要な指標発表時にUSD/JPYでトレード。
- ユーロ圏のインフレ率や雇用統計を元にEUR/USDのポジションを取る。
アイディア3: 経済イベントに基づいたポジション管理
イベント前後でポジションを調整するEAを作成します。例えば、重要な経済指標の発表直前に既存のポジションを決済したり、ボラティリティのリスクを避けるためにストップロスを調整するような機能を追加できます。
- 具体的な流れ:
- 発表前にポジションを縮小。
- ボラティリティが落ち着いた後、元のポジションに戻す。
アイディア4: 重要度別の通知システム
重要度の高いイベントが近づいたらトレーダーに通知するEAを作成します。これにより、手動トレードの準備をサポートすることができます。
- 具体的な流れ:
- 重要度が高いイベント(impact_type = 3など)を検出。
- 発表の5分前に通知を送る機能を追加。
アイディア5: イベントデータの記録と分析
この関数を使って取得した経済指標データをファイルに保存し、後でトレード戦略を改善するために分析することも可能です。
- 具体的な流れ:
- MqlCalendarValue構造体のデータをCSV形式でエクスポート。
- イベントの影響を振り返り、トレード履歴と関連づけて検証。
アイディア6: ボラティリティ予測モデルのトリガー
過去のイベントデータとその結果をAIや統計モデルで分析し、次回の経済指標発表時にどの程度のボラティリティが予想されるかをEA内で利用します。
- 具体的な流れ:
- 過去のactual_value、forecast_value、prev_valueを保存。
- AIモデルや統計手法を利用して将来の値動きを予測。
CalendarValueLast関数を活用することで、これらのような高度な自動売買システムを開発でき、経済指標をトレードの意思決定に直接組み込むことが可能になります。