MathCos関数の働き・役割
MathCos関数は、指定した角度の余弦(コサイン)値を計算し、その結果を返します。これは三角関数(直角三角形の角度に対応する辺の比を扱う関数)の一つで、与えられた角度がX軸に対してどれだけの傾きを持つかを示す値です。MathCos関数の戻り値は、-1から1の範囲で返されます。
この関数で角度を指定する際は、ラジアン(弧度法=角度を半径をもとに定義する方法で角度を表す単位)を使用します。ラジアンを用いることで、より正確な角度計算が可能となります。
MathCos関数は、コサイン値を利用した計算やグラフ作成に便利です。また、MathCos関数の代わりに標準のcos関数も使用できますが、両者は同じ動作を持つため、特定の場面に応じて使い分けが可能です。
余弦とは
余弦(コサイン)は、三角関数の一つで、直角三角形の特定の角度に対して定義される比率です。直角三角形には90度の角が1つあり、残りの2つの角のうちの1つに注目すると、その角度に対する辺の比率からコサインを求めることができます。
コサインの公式
直角三角形のある角度を θ としたとき、余弦(cosθ)は次の計算式で求められます。
cosθ = 隣辺 / 斜辺
ここで:
- 隣辺は、角度 θ に隣接する直角ではない辺の長さ
- 斜辺は、直角三角形で最も長い辺(90度の角に対する辺)
例えば、もし直角三角形で角度 θ が30度で、斜辺の長さが10cm、隣辺の長さが5cmの場合、コサインの計算は以下のようになります。
cos30° = 5 / 10 = 0.5
このように、余弦は角度と辺の比率を使って計算され、角度に応じて0から1の間の値を取ります。
MathCos関数の引数について
double MathCos(
double value // 数値
);
MathCos関数は、以下の引数を使用してコサイン値を計算します。
引数の詳細
第一引数value は、角度をラジアン(弧度法で角度を表す単位)で指定します。ラジアンで表すことにより、数値計算が正確に行われ、-1から1の範囲の余弦値を求めることが可能です。
たとえば、0ラジアンは0度に対応し、MathCos(0)を計算すると、結果は1が返されます。
MathCos関数の戻り値について
MathCos関数の戻り値は、指定した角度の余弦値(cosθ = 隣辺 / 斜辺)を表す数値です。この関数は、与えられた角度の余弦を計算し、-1から1の範囲でその結果を返します。
例えば:
- 角度が0ラジアンの場合、MathCosは1を返します。これは cos0 = 1/1 = 1 だからです。
- 角度が π/2 ラジアン(90度)の場合、MathCosは0を返します。これは cos90° = 0/1 = 0 だからです。
- 角度が πラジアン(180度)の場合、MathCosは-1を返します。これは cos180° = -1/1 = -1 だからです。
このように、MathCos関数は指定した角度のコサイン値を返し、結果は常に-1から1の範囲に収まります。
MathCos関数を使ったサンプルコード
#define GRAPH_WIDTH 750 // グラフの幅を設定
#define GRAPH_HEIGHT 350 // グラフの高さを設定
#include <Graphics\Graphic.mqh> // グラフィック描画用のライブラリをインクルード
CGraphic ExtGraph; // CGraphicクラスのインスタンスを作成
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリプトプログラム開始関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
{
// vectorクラスを使用してdeltaベクトルを作成し、2πを100等分した101個の値を生成
vector delta=vector::Full(101, 2 * M_PI / 100);
delta[0] = 0; // ベクトルの初めの要素を0に設定
//--- deltaステップで -1 から 2πまでの101個の値を取得する
vector X = delta.CumSum(); // ベクトルXにdeltaの累積和を格納
//--- Xベクトルの各値の余弦(コサイン)値を計算してYベクトルに格納
vector Y = MathCos(X);
//--- 計算された値をベクトルから配列に転送する
double x_array[], y_array[]; // 配列を宣言
X.Swap(x_array); // Xベクトルをx_array配列にスワップ
Y.Swap(y_array); // Yベクトルをy_array配列にスワップ
//--- 計算されたベクトル値のグラフを描画する
CurvePlot(x_array, y_array, clrDodgerBlue); // 曲線を描画
//--- EscapeキーまたはPgDnキーを押してグラフを削除し、終了するまで待機
while (!IsStopped())
{
if (StopKeyPressed()) // 停止ボタンが押されているかを確認
break;
Sleep(16); // 16ミリ秒待機してから次のループへ
}
//--- グラフィックのクリーンアップ
ExtGraph.Destroy(); // ExtGraphオブジェクトを削除してメモリを解放
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| ESCが押されたら「true」を返す |
//| PgDnが押されたら、スクリーンショットを撮り「true」を返す |
//| その他の場合は「false」を返す |
//+------------------------------------------------------------------+
bool StopKeyPressed()
{
//--- ESCキーが押されたら「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPE) != 0)
return (true);
//--- PgDnキーが押されてスクリーンショットが正常に保存されたら「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWN) != 0 &&
MakeAndSaveScreenshot(MQLInfoString(MQL_PROGRAM_NAME) + "_Screenshot"))
return (true);
//--- その他の場合は「false」を返す
return (false);
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| グラフオブジェクトを作成して曲線を描画 |
//+------------------------------------------------------------------+
void CurvePlot(double &x_array[], double &y_array[], const color colour)
{
// グラフオブジェクトを作成(チャートID、名前、座標などを設定)
ExtGraph.Create(ChartID(), "Graphic", 0, 0, 0, GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// カーブ(曲線)を追加し、色とラインの種類を指定
ExtGraph.CurveAdd(x_array, y_array, ColorToARGB(colour), CURVE_LINES);
// テキストのインデント位置を少し上に設定
ExtGraph.IndentUp(30);
// すべての曲線を描画
ExtGraph.CurvePlotAll();
// ESCキーとPgDnキーに関する操作方法の説明を追加
string text1 = "Press ESC to delete the graph and stop the script, or";
string text2 = "Press PgDn to create a screen, delete the graph and stop the script";
ExtGraph.TextAdd(54, 9, text1, ColorToARGB(clrBlack));
ExtGraph.TextAdd(54, 21, text2, ColorToARGB(clrBlack));
// グラフの更新
ExtGraph.Update();
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリーンショットを撮り、画像をファイルに保存する |
//+------------------------------------------------------------------+
bool MakeAndSaveScreenshot(const string file_name)
{
string file_names[]; // ファイル名を格納するための配列を初期化
ResetLastError(); // 最後のエラーをリセット
// ファイル保存用のダイアログを表示し、選択されたファイルを取得
int selected = FileSelectDialog("Save Picture", NULL, "All files (*.*)|*.*", FSD_WRITE_FILE, file_names, file_name + ".png");
if (selected < 1)
{
// ファイル選択エラーが発生した場合の処理
if (selected < 0)
PrintFormat("%s: FileSelectDialog() function returned error %d", __FUNCTION__, GetLastError());
return false; // エラー時はfalseを返す
}
bool res = false; // 成功判定の変数
// 一時的にチャート表示を無効化し、スクリーンショットを撮影
if (ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, false))
res = ChartScreenShot(0, file_names[0], GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// チャート表示を再度有効に設定
ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, true);
return (res); // スクリーンショットが正常に保存できた場合はtrueを返す
}
このサンプルコードは、0から2πまでの範囲で計算したコサイン値を用いて、グラフ上に波形を描画します。まず、指定した範囲のコサイン値を計算し、それを元に波形のデータを生成します。次に、そのデータを基にして画面に波形グラフを描画します。また、ESCキーを押すとグラフが削除され、スクリプトが終了します。PgDnキーを押すとスクリーンショットを保存した後にグラフを削除し、スクリプトが終了します。
サンプルコード解説1: グローバル領域での定義
#define GRAPH_WIDTH 750 // グラフの幅を設定
#define GRAPH_HEIGHT 350 // グラフの高さを設定
#include <Graphics\Graphic.mqh> // グラフィック描画用のライブラリをインクルード
CGraphic ExtGraph; // CGraphicクラスのインスタンスを作成
定義の詳細
グラフの幅と高さの定義
グラフの幅を750ピクセル(デジタル画像を構成する最小の単位)に、グラフの高さを350ピクセルに設定しています。defineディレクティブを使用して定数を定義することで、コード内でこれらの値を使用する際に簡単に参照できるようになります。
グラフィックライブラリのインクルード
includeディレクティブを使用して、グラフィック関連の機能を提供するライブラリファイル「Graphic.mqh」をインクルードしています。このライブラリには、グラフの描画や曲線の追加など、グラフィック操作に必要な関数やクラスが定義されています。
グラフィックオブジェクトの作成
CGraphicクラスのインスタンスであるExtGraphオブジェクトを作成しています。このオブジェクトは、グラフの描画や操作に使用されます。クラスはオブジェクト指向プログラミングの基本要素であり、特定の機能を持つオブジェクト(変数や配列など)を作成するためのテンプレートです。
サンプルコード解説2: OnStart関数の中1
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリプトプログラム開始関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
{
// vectorクラスを使用してdeltaベクトルを作成し、2πを100等分した101個の値を生成
vector delta=vector::Full(101, 2 * M_PI / 100);
delta[0] = 0; // ベクトルの初めの要素を0に設定
//--- deltaステップで -1 から 2πまでの101個の値を取得する
vector X = delta.CumSum(); // ベクトルXにdeltaの累積和を格納
//--- Xベクトルの各値の余弦(コサイン)値を計算してYベクトルに格納
vector Y = MathCos(X);
この部分のコードでは、スクリプトが実行される際の処理として、逆正弦関数を利用した計算データを生成する手順を記述しています。
最初に、deltaというベクトル(複数の値を一つのデータとしてまとめて扱うデータ構造)を作成しています。vectorクラスのFullメソッドを用いて、deltaに101個の要素を持たせ、各要素に2π/1000の値を格納しています。
※「vector::」という表記は、vectorクラスのメソッドや定数を参照するための構文です。この構文により、vector型の様々なメソッド(例えばFullやCumSumなど)を呼び出すことが可能です。
このdeltaベクトルの初期化によって、-1から2πにわたる範囲で値を生成する準備をしています。
次に、deltaベクトルの最初の要素を0に設定して範囲を調整しています。
次に、deltaの累積和を計算してXというベクトルに格納しています。CumSumメソッドを用いることで、deltaの各要素が累積的に加算された結果がXに保存されます。
最後に、MathCos関数を用いてXベクトルの各値に対する余弦を計算し、結果をYベクトルに格納しています。このYベクトルには、Xの各要素に対応した余弦の値が格納されることになり、これらのデータが次のグラフ描画部分で使用されます。
サンプルコード解説3:OnStart関数部分その2
//--- 計算された値をベクトルから配列に転送する
double x_array[], y_array[]; // 配列を宣言
X.Swap(x_array); // Xベクトルをx_array配列にスワップ
Y.Swap(y_array); // Yベクトルをy_array配列にスワップ
//--- 計算されたベクトル値のグラフを描画する
CurvePlot(x_array, y_array, clrDodgerBlue); // 曲線を描画
この部分のコードでは、余弦計算の結果を使ってグラフ描画の準備を行っています。
まず、空の配列x_arrayとy_arrayを宣言しています。これらの配列は、それぞれXベクトルとYベクトルのデータを受け取るためのもので、後にグラフ描画で使用されます。次に、Xベクトルの内容をx_array配列に、Yベクトルの内容をy_array配列に転送するために、Swapメソッドを使用しています。Swapメソッドはベクトルの内容を配列に効率的にコピーするメソッドです。
これにより、XとYの計算結果が配列形式に変換され、グラフ描画に適した形に整えられます。そして、CurvePlot関数を呼び出して、計算したデータをもとにグラフを描画しています。CurvePlot関数には、x_arrayとy_array、そしてグラフの線の色clrDodgerBlueが渡され、指定されたデータと色でグラフが描画されます
サンプルコード解説4:OnStart関数部分その3
//--- EscapeキーまたはPgDnキーを押してグラフを削除し、終了するまで待機
while (!IsStopped())
{
if (StopKeyPressed()) // 停止ボタンが押されているかを確認
break;
Sleep(16); // 16ミリ秒待機してから次のループへ
}
//--- グラフィックのクリーンアップ
ExtGraph.Destroy(); // ExtGraphオブジェクトを削除してメモリを解放
}
この部分のコードは、グラフを表示させたまま、ESCキーまたはPgDnキーが押されるのを待機する処理です。
まず、while文でループを開始し、スクリプトが停止されていない間、つまりIsStopped関数がfalseを返す間はループが続きます。ループの中でStopKeyPressed関数が呼ばれ、ESCキーまたはPgDnキーが押されたかを確認します。もし、いずれかのキーが押されている場合、break文によってループを抜け、待機処理を終了します。これにより、ユーザーが任意のタイミングでグラフの表示を終了できるようになっています。
ループ内でSleep関数が16ミリ秒の待機を挟むことで、CPU負荷を軽減しながらキーの入力を定期的に確認します。待機処理が終了すると、グラフのクリーンアップに移ります。ExtGraphインスタンスに対してDestroyメソッドを呼び出し、グラフを破棄して使用していたメモリを解放します。これにより、スクリプトの終了時にリソースが適切に解放されます。
サンプルコード解説5:StopKeyPressed関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| ESCが押されたら「true」を返す |
//| PgDnが押されたら、スクリーンショットを撮り「true」を返す |
//| その他の場合は「false」を返す |
//+------------------------------------------------------------------+
bool StopKeyPressed()
{
//--- ESCキーが押されたら「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPE) != 0)
return (true);
//--- PgDnキーが押されてスクリーンショットが正常に保存されたら「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWN) != 0 &&
MakeAndSaveScreenshot(MQLInfoString(MQL_PROGRAM_NAME) + "_Screenshot"))
return (true);
//--- その他の場合は「false」を返す
return (false);
}
StopKeyPressed関数は、ESCキーやPgDnキーが押されたかどうかを検出し、特定の動作を行うためのカスタム関数です。この関数は、グラフ表示の終了条件を管理する重要な役割を持っています。
まず、TerminalInfoInteger関数を使用してESCキーの状態を確認しています。引数として、TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPEという識別子を指定しています。この識別子は、ESCキーの押下状態を取得するために使用され、キーが押されている場合には非ゼロの値が返されます。もし非ゼロが返された場合、関数はtrueを返し、スクリプト内でグラフの表示を終了させることができます。
次に、PgDnキーが押されているかどうかを確認しています。この場合もTerminalInfoInteger関数を使用しており、引数としてTERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWNという識別子を指定しています。この識別子は、PgDnキーの押下状態を取得するために使用され、押されていれば非ゼロが返されます。PgDnキーが押されているときには、さらにMakeAndSaveScreenshot関数を呼び出してスクリーンショットをファイルに保存します。
MakeAndSaveScreenshot関数には、スクリーンショットのファイル名を指定するための文字列が引数として渡されています。この文字列は、MQLInfoString関数を使用して生成されています。MQLInfoString関数の引数には、MQL_PROGRAM_NAMEという識別子が指定されており、これによって現在のスクリプト名が取得されます。スクリーンショットのファイル名には、このスクリプト名に「_Screenshot」という文字列を追加し、ファイルが保存されます。
スクリーンショットの保存に成功した場合にはtrueが返され、PgDnキーによる終了動作とスクリーンショットの保存が同時に行われます。いずれのキーも押されていない場合にはfalseが返され、スクリプトは実行を続行します。この構造により、ESCまたはPgDnが押されるまでグラフを表示し、必要に応じてスクリーンショットを保存してからスクリプトを終了する動作が可能になります。
サンプルコード解説6:CurvePlot関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| グラフオブジェクトを作成して曲線を描画 |
//+------------------------------------------------------------------+
void CurvePlot(double &x_array[], double &y_array[], const color colour)
{
// グラフオブジェクトを作成(チャートID、名前、座標などを設定)
ExtGraph.Create(ChartID(), "Graphic", 0, 0, 0, GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// カーブ(曲線)を追加し、色とラインの種類を指定
ExtGraph.CurveAdd(x_array, y_array, ColorToARGB(colour), CURVE_LINES);
// テキストのインデント位置を少し上に設定
ExtGraph.IndentUp(30);
// すべての曲線を描画
ExtGraph.CurvePlotAll();
// ESCキーとPgDnキーに関する操作方法の説明を追加
string text1 = "Press ESC to delete the graph and stop the script, or";
string text2 = "Press PgDn to create a screen, delete the graph and stop the script";
ExtGraph.TextAdd(54, 9, text1, ColorToARGB(clrBlack));
ExtGraph.TextAdd(54, 21, text2, ColorToARGB(clrBlack));
// グラフの更新
ExtGraph.Update();
}
CurvePlot関数は、渡された配列データをもとにグラフを作成し、指定した色で曲線を描画するためのカスタム関数です。この関数には、x軸とy軸のデータ配列、および曲線の色を指定するための引数が含まれています。
最初に、ExtGraphインスタンスのCreateメソッドを使用してグラフを作成しています。Createメソッドの引数には、ChartID、グラフの名前(”Graphic”)、座標(0, 0)、および幅と高さ(GRAPH_WIDTHとGRAPH_HEIGHT)が指定されています。ChartID関数は、現在のチャートIDを取得する関数で、これにより生成されたグラフは現在のチャートに描画されます。
次に、ExtGraphインスタンスのCurveAddメソッドを使用して、x軸とy軸の配列データをもとに曲線を追加します。CurveAddメソッドの引数には、x_arrayとy_arrayの配列、指定した色をARGB形式に変換するためのColorToARGB関数、そして曲線のスタイル(CURVE_LINES)が渡されています。この処理によって、指定の色とスタイルで曲線が描画されます。
続いて、IndentUpメソッドを使用してグラフの上部に30ピクセル(デジタル画像を構成する最小の単位)の空白を追加しています。これにより、グラフ上に余白が確保され、グラフが画面に適切に配置されるようになります。
その後、CurvePlotAllメソッドを使用して、追加した曲線をグラフに描画しています。
さらに、グラフの操作方法についての説明文を追加しています。text1およびtext2という文字列には、それぞれ「ESCキーでグラフを削除してスクリプトを停止する」「PgDnキーでスクリーンショットを作成してからグラフを削除し、スクリプトを停止する」という内容の説明が含まれています。TextAddメソッドを使って、これらのテキストを画面の指定位置(x=54, y=9 と x=54, y=21)に描画し、説明が表示されるようにしています。
また、色の指定にはColorToARGB関数を使用しています。ColorToARGB関数は、指定された色をARGB(Alpha、Red、Green、Blue)形式に変換し、透過度や色の設定が反映されるようにします。これにより、TextAddメソッドで追加するテキストや曲線が指定の色で正しく表示されます。
最後に、Updateメソッドを呼び出してグラフの描画を更新し、設定したデータやテキストを反映させます。この一連の処理により、x軸とy軸のデータに基づく曲線が描画され、操作の説明が表示されたグラフが完成します。
サンプルコード解説7:MakeAndSaveScreenshot関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリーンショットを撮り、画像をファイルに保存する |
//+------------------------------------------------------------------+
bool MakeAndSaveScreenshot(const string file_name)
{
string file_names[]; // ファイル名を格納するための配列を初期化
ResetLastError(); // 最後のエラーをリセット
// ファイル保存用のダイアログを表示し、選択されたファイルを取得
int selected = FileSelectDialog("Save Picture", NULL, "All files (*.*)|*.*", FSD_WRITE_FILE, file_names, file_name + ".png");
if (selected < 1)
{
// ファイル選択エラーが発生した場合の処理
if (selected < 0)
PrintFormat("%s: FileSelectDialog() function returned error %d", __FUNCTION__, GetLastError());
return false; // エラー時はfalseを返す
}
bool res = false; // 成功判定の変数
// 一時的にチャート表示を無効化し、スクリーンショットを撮影
if (ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, false))
res = ChartScreenShot(0, file_names[0], GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// チャート表示を再度有効に設定
ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, true);
return (res); // スクリーンショットが正常に保存できた場合はtrueを返す
}
MakeAndSaveScreenshot関数は、スクリーンショットを撮影し、指定したファイル名で保存する機能を持っています。この関数は、ユーザーがPgDnキーを押した際に呼び出され、現在のチャートのスクリーンショットをファイルに保存する手順を実行します。
最初に、file_namesという空の文字列配列を作成しています。これは、ファイル選択ダイアログから選ばれたファイル名を格納するための配列です。また、ResetLastError関数を呼び出してエラー状態をリセットし、後の処理で発生するエラーが過去のエラーと混在しないようにします。
次に、FileSelectDialog関数を使って、ファイルの保存ダイアログを表示します。この関数の最初の引数にはダイアログタイトル(”Save Picture”)、次の引数にNULL、そしてファイルの種類として”All files (.)|.“を指定しています。
この”(.)|.“の形式は、ファイルダイアログでのファイルフィルターを設定するための書式です。
左側の(.)はフィルターの表示名で「すべてのファイル」を示し、右側の.はフィルターの実際の条件を指定しています。
これにより、ダイアログにすべてのファイルを表示するようになります。最後の引数には、デフォルトのファイル名として指定されたfile_nameに拡張子”.png”を追加した文字列を渡しています。FileSelectDialog関数が成功すると、選ばれたファイル名がfile_names配列に格納され、選択数が返されます。
ファイルが選択されなかった場合、またはエラーが発生した場合はfalseを返します。選択にエラーが発生した場合、GetLastError関数で取得したエラーコードをPrintFormat関数でエラーメッセージとして出力します。
スクリーンショットの保存処理では、まずChartSetInteger関数でチャート表示を一時的に非表示にします。引数には、チャート識別子として0、プロパティとしてCHART_SHOW、表示を無効にするためのfalseが指定されています。次に、ChartScreenShot関数を呼び出し、file_names配列の最初の要素に指定されたファイル名で、GRAPH_WIDTHとGRAPH_HEIGHTのサイズでスクリーンショットを保存します。最後にChartSetInteger関数でチャートを再表示します。
関数の戻り値として、スクリーンショットが正常に保存されたかどうかの成否が返されます。
MathCos関数を使ってEAを作る際のアイディア
サイクルトレード戦略
MathCos関数を使って、周期的に価格が上昇・下降する動きをトレースし、トレンドの転換点を予測します。コサイン値のピークやボトムのタイミングで売買シグナルを発するEAを構築することで、相場の波動に合わせた取引が可能です。
ボラティリティの監視と取引シグナルの生成
MathCos関数を使って、一定のボラティリティを持つ相場環境に基づき、トレードタイミングを判断する手法です。例えば、ボラティリティが高いときには取引を控える、あるいはコサインの周期的な変動に基づき一定の幅を設けた範囲でポジションを取るといった取引ルールを設定します。
時間経過に応じたエントリー・エグジットポイントの調整
MathCos関数の周期的な波を利用し、時間の経過に伴い取引ポイントを調整するEAを構築します。例えば、1日の中で一定のタイミング(例えば市場のオープン時間やクローズ時間)に合わせ、コサインの波形に従ってエントリーやエグジットの条件を変化させることで、より戦略的なポジション管理が可能です。
複数通貨ペアのシンクロナイズトレード
異なる通貨ペアの価格変動をそれぞれMathCos関数で評価し、周期が一致するタイミングで取引するEAを作成します。これは複数の通貨ペアが連動する傾向を持つ場合に有効で、相関関係を利用してタイミングの合ったトレードを実行できます。