- MathLog10関数の働き・役割
- 底とは
- MathLog10関数の引数について
- MathLog10関数の戻り値について
- MathLog10関数を使ったサンプルコード
- サンプルコード解説1: グローバル領域での定義
- サンプルコード解説2: OnStart関数の中その1
- サンプルコード解説3:OnStart関数部分その2
- サンプルコード解説4:OnStart関数部分その3
- サンプルコード解説5: VectorArange関数(オリジナル関数)部分
- サンプルコード解説6: StopKeyPressed関数(オリジナル関数)部分
- サンプルコード解説7:CurvePlot関数(オリジナル関数)部分
- サンプルコード解説8:MakeAndSaveScreenshot関数(オリジナル関数)部分
- MathLog10関数を使ってEAを作る際のアイディア
MathLog10関数の働き・役割
MathLog10関数は、与えられた数値の底(対数を計算する基準となる数)が10の対数(ある数を、基準となる別の数で何回掛けると得られるかを示す数)を計算し、その値を返します。対数は数学や金融の分野で重要な役割を持っており、特に比率の変化や指数(ある数を特定の数で何回掛けたかを示す概念)的な関係を表現する際に使用されます。MathLog10関数を使用することで、数値を対数スケールに変換することができ、グラフ表示やデータの分析に役立ちます。
底とは
「底(てい)」とは、対数を計算する際の基準となる数のことです。対数とは、ある数が別の数を何回かけ合わせるとできるかを表すもので、かけ合わせる基準となる数が「底」です。
例えば、底が10の対数とは、「10を何回かけ合わせたらその数になるか」を求める計算です。たとえば100の底10の対数は「2」になります(10 × 10 = 100)。
MathLog10関数の場合、底が10の対数を計算するために使用されます。この関数を使うと、指定した数が10を何回かけると得られるかを求めることができます。
MathLog10関数の引数について
double MathLog10(
double val // 対数を取る数値
);
MathLog10関数は、対数を計算する数値を引数として受け取ります。この引数には対数を取りたい数値を指定します。
引数の説明
MathLog10関数を使用する際に、valに負の数を指定した場合、計算結果として不定値(NaN)が返されます。また、valに0を指定すると、無限大(INF)が戻り値として返されます。
MathLog10関数の戻り値について
MathLog10関数は、指定された数値に対する底が10の対数を計算し、その結果を戻り値として返します。戻り値には以下のような値が考えられます。
- 正常な数値の場合
正の数を引数として与えた場合、その数値に対応する底10の対数を返します。例えば、引数が100の場合は「2」が返さます。 - 負の数の場合
負の数を引数に指定すると、不定値(NaN)が返されます。負の数には実数範囲で対数が存在しないためです。 - 0の場合
引数に0を指定すると、無限大(INF)が戻り値として返されます。これは、0に近づくほど対数の結果が発散するためです。
MathLog10関数を使ったサンプルコード
#define GRAPH_WIDTH 750 // グラフの幅を750ピクセルに設定
#define GRAPH_HEIGHT 350 // グラフの高さを350ピクセルに設定
#include <Graphics\Graphic.mqh> // グラフィック表示に使用するライブラリをインクルード
CGraphic ExtGraph; // グラフィックオブジェクトを宣言
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリプトプログラム開始関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
{
//--- step 1で0〜8の9個の値を取得するベクトルXを初期化
vector X(9,VectorArange);
Print("vector X = \n", X); // Xの値をエキスパートログに表示
//--- Xベクトルの各値の底が10の対数を計算し、再度Xに格納
X = MathLog10(X);
Print("MathLog10(X) = \n", X); // 計算された対数値をエキスパートログに表示
//--- 計算された値をベクトルから配列に転送
double y_array[];
X.Swap(y_array); // Xベクトルの値をy_array配列にコピー
//--- 計算されたベクトル値のグラフを描画
CurvePlot(y_array, clrDodgerBlue); // 配列の値をもとに青色の曲線グラフを描画
//--- EscapeキーまたはPgDnキーが押されるまで待機して、グラフを表示
while(!IsStopped())
{
if(StopKeyPressed()) // 停止キーが押されたか確認
break;
Sleep(16); // 少し待機して再度確認(画面を更新し続ける)
}
//--- クリーンアップ:グラフを削除してオブジェクトを破棄
ExtGraph.Destroy();
/*
結果:
vector X =
[0,1,2,3,4,5,6,7,8] // 初期値
MathLog10(X) =
[-inf,0,0.3010,0.4771,...] // 各値の底10の対数
*/
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| ベクトルに「value」を「step」単位で入力する |
//+------------------------------------------------------------------+
template<typename T>
void VectorArange(vector<T> &vec, T value = 0.0, T step = 1.0)
{
// vecのサイズ分繰り返し、valueをstepごとに増加して各要素に代入
for(ulong i = 0; i < vec.Size(); i++, value += step)
vec[i] = value;
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| ESCが押されたら「true」を返す |
//| PgDnが押されたらスクリーンショットを撮影し、「true」を返す |
//| その他の場合は「false」を返す |
//+------------------------------------------------------------------+
bool StopKeyPressed()
{
//--- ESCキーが押されたら「true」を返す
if(TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPE) != 0)
return(true);
//--- PgDnキーが押されスクリーンショットが正常に保存されたら「true」を返す
if(TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWN) != 0 &&
MakeAndSaveScreenshot(MQLInfoString(MQL_PROGRAM_NAME) + "_Screenshot"))
return(true);
//--- 何も押されていなければ「false」を返す
return(false);
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| グラフオブジェクトを作成して曲線を描く |
//+------------------------------------------------------------------+
void CurvePlot(double& y_array[], const color colour)
{
// グラフオブジェクトを作成して設定
ExtGraph.Create(ChartID(), "Graphic", 0, 0, 0, GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// 曲線を描画(配列データを使い、指定色で曲線を描く)
ExtGraph.CurveAdd(y_array, y_array, ColorToARGB(colour), CURVE_LINES);
ExtGraph.IndentUp(30); // グラフ全体の位置を上に調整
ExtGraph.CurvePlotAll(); // 描画処理を実行
// ESCおよびPgDnの使用説明のテキストを追加
string text1 = "Press ESC to delete the graph and stop the script, or";
string text2 = "Press PgDn to create a screen, delete the graph and stop the script";
ExtGraph.TextAdd(54, 9, text1, ColorToARGB(clrBlack));
ExtGraph.TextAdd(54, 21, text2, ColorToARGB(clrBlack));
ExtGraph.Update(); // グラフとテキストを更新して表示
}
このコードは、MQL5のスクリプトとして、0から8までの数値の底が10の対数を計算し、その結果をグラフとして描画します。はじめに、0から8までの値を持つベクトルを生成し、それぞれの値の底10の対数をMathLog10関数で計算します。次に、計算結果をグラフ表示用の配列に変換し、青色の曲線グラフを描画します。
スクリプトは、ESCキーやPgDnキーが押されるまでグラフを画面上に保持し、PgDnキーが押されるとスクリーンショットを保存します。最後に、クリーンアップ処理としてグラフオブジェクトを削除して終了します。
サンプルコード解説1: グローバル領域での定義
#define GRAPH_WIDTH 750 // グラフの幅を設定
#define GRAPH_HEIGHT 350 // グラフの高さを設定
#include <Graphics\Graphic.mqh> // グラフィック描画用のライブラリをインクルード
CGraphic ExtGraph; // CGraphicクラスのインスタンスを作成
定義の詳細
グラフの幅と高さの定義
グラフの幅を750ピクセル(デジタル画像を構成する最小の単位)に、グラフの高さを350ピクセルに設定しています。defineディレクティブを使用して定数を定義することで、コード内でこれらの値を使用する際に簡単に参照できるようになります。
グラフィックライブラリのインクルード
includeディレクティブを使用して、グラフィック関連の機能を提供するライブラリファイル「Graphic.mqh」をインクルードしています。このライブラリには、グラフの描画や曲線の追加など、グラフィック操作に必要な関数やクラスが定義されています。
グラフィックオブジェクトの作成
CGraphicクラスのインスタンスであるExtGraphオブジェクトを作成しています。このインスタンスは、グラフの描画や操作に使用されます。
クラスはオブジェクト指向プログラミングの基本要素であり、特定機能を持つオブジェクト(変数や配列など)を作成するためのテンプレートです。
サンプルコード解説2: OnStart関数の中その1
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリプトプログラム開始関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
{
//--- step 1で0〜8の9個の値を取得するベクトルXを初期化
vector X(9,VectorArange);
Print("vector X = \n", X); // Xの値をエキスパートログに表示
//--- Xベクトルの各値の底が10の対数を計算し、再度Xに格納
X = MathLog10(X);
Print("MathLog10(X) = \n", X); // 計算された対数値をエキスパートログに表示
ここでは、OnStart関数の初めに行われている処理について説明します。この関数はスクリプトが実行されると最初に呼び出され、指定したベクトル(数値の集まり)の値の生成と、10を底とする対数の計算を行っています。
- ベクトルXの作成 まず、vectorクラスのインスタンスであるXを作成します。ここで「9」はベクトルのサイズを示しており、合計9つの要素が格納されるようになります。初期化には、VectorArange関数というオリジナル関数を利用しており、この関数により「0」から始まり「1」ずつ増加する連続した値が生成され、Xの各要素に順次格納されます。つまり、Xは [0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8] という値を持つベクトルとなります。
- ベクトルXの出力 生成されたベクトルXの内容を確認するために、Print関数でXの値をエキスパートログに出力します。これにより、正しく連続値が生成されていることを確認できます。
- 対数の計算 次に、MathLog10関数を用いてベクトルXの各要素の対数を計算し、その結果をベクトルXに再格納します。
- 計算後のベクトルXの出力 計算後のベクトルXの内容を再度Print関数で出力し、各要素の対数が正しく計算されているかを確認します。
サンプルコード解説3:OnStart関数部分その2
//--- 計算された値をベクトルから配列に転送する
double x_array[], y_array[]; // 配列を宣言
X.Swap(x_array); // Xベクトルをx_array配列にスワップ
Y.Swap(y_array); // Yベクトルをy_array配列にスワップ
//--- 計算されたベクトル値のグラフを描画する
CurvePlot(x_array, y_array, clrDodgerBlue); // 曲線を描画
この部分のコードでは、余弦計算の結果を使ってグラフ描画の準備を行っています。
まず、空の配列x_arrayとy_arrayを宣言しています。これらの配列は、それぞれXベクトルとYベクトルのデータを受け取るためのもので、後にグラフ描画で使用されます。次に、Xベクトルの内容をx_array配列に、Yベクトルの内容をy_array配列に転送するために、Swapメソッドを使用しています。Swapメソッドはベクトルの内容を配列に効率的にコピーするメソッドです。
これにより、XとYの計算結果が配列形式に変換され、グラフ描画に適した形に整えられます。そして、CurvePlot関数を呼び出して、計算したデータをもとにグラフを描画しています。CurvePlot関数には、x_arrayとy_array、そしてグラフの線の色clrDodgerBlueが渡され、指定されたデータと色でグラフが描画されます。
サンプルコード解説4:OnStart関数部分その3
//--- EscapeキーまたはPgDnキーを押してグラフを削除し、終了するまで待機
while (!IsStopped())
{
if (StopKeyPressed()) // 停止ボタンが押されているかを確認
break;
Sleep(16); // 16ミリ秒待機してから次のループへ
}
//--- グラフィックのクリーンアップ
ExtGraph.Destroy(); // ExtGraphオブジェクトを削除してメモリを解放
}
この部分のコードは、グラフを表示させたまま、ESCキーまたはPgDnキーが押されるのを待機する処理です。
まず、while文でループを開始し、スクリプトが停止されていない間、つまりIsStopped関数がfalseを返す間はループが続きます。ループの中でStopKeyPressed関数が呼ばれ、ESCキーまたはPgDnキーが押されたかを確認します。もし、いずれかのキーが押されている場合、break文によってループを抜け、待機処理を終了します。これにより、ユーザーが任意のタイミングでグラフの表示を終了できるようになっています。
ループ内でSleep関数が16ミリ秒の待機を挟むことで、CPU負荷を軽減しながらキーの入力を定期的に確認します。待機処理が終了すると、グラフのクリーンアップに移ります。ExtGraphインスタンスに対してDestroyメソッドを呼び出し、グラフを破棄して使用していたメモリを解放します。これにより、スクリプトの終了時にリソースが適切に解放されます。
サンプルコード解説5: VectorArange関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| ベクトルに「value」を「step」単位で入力する |
//+------------------------------------------------------------------+
template<typename T>
void VectorArange(vector<T>& vec, T value = 0.0, T step = 1.0)
{
// vecの各要素にvalueからstepごとに増加した値を設定
for (ulong i = 0; i < vec.Size(); i++, value += step)
vec[i] = value; // 各要素に値を代入
}
ここでは、VectorArange関数がどのようにベクトルに値を設定しているのかについて解説します。VectorArange関数は、指定したベクトルに対して、一定の間隔で数値を入力するためのテンプレート関数です。引数にベクトルと2つの数値をとり、指定された数値から始めて指定の間隔で順に数値を増加させながらベクトルに入力していきます。
VectorArange関数の引数について
1つ目の引数として、ベクトルvecを参照渡しで受け取っています。参照渡しにより、関数内での操作が直接ベクトルvecに反映され、関数外のvecにも影響します。このように引数にベクトルを持たせることで、関数が任意のベクトルサイズに対応でき、さまざまな型Tに対して同じ関数を利用できる汎用性も確保されています。
※<T>
という表記は、「テンプレート引数」と呼ばれるもので、C++やMQL5では、関数やクラスをどんなデータ型にも対応させたいときに使います。通常、関数を作成する時はデータ型を「int型」や「double型」のように指定して、その型だけに対応するようにしますが、テンプレート引数を使うと「どの型にも対応できる」ようになります。
例えば、この<T>
は「仮のデータ型」を示していて、「まだ決まっていない型」として扱われます。関数やクラスを使う時に、初めてその「T」が具体的な型に置き換わるイメージです。このようにすることで、例えば整数でも小数でも同じ処理ができる関数やクラスを一度に作ることができます。
このコードでは、T
を使うことで、ベクトルに整数や小数を入れる場合にも同じ関数を使えるようにしているため、柔軟に利用することができます。
2つ目の引数valueは、初期値を設定するための値です。この引数にはデフォルトで0が指定されていますが、必要に応じて異なる数値を指定して開始値を変更できます。
3つ目の引数stepは、増加の間隔を指定する値です。この値にはデフォルトで1が指定されており、各ベクトルの要素にこの間隔で値を設定します。stepを大きくすれば広い間隔で、stepを小さくすれば細かい間隔で値を増加させることが可能です。
※テンプレート関数についての詳細は↓の記事をご参照ください。
関数の動作
関数内では、forループを用いて、vecのサイズ分だけ繰り返し、valueから始めてstepずつ増加させた値を順にベクトルvecに設定しています。各ループでvecの次の要素にvalueが設定され、その後valueにstepが加算され、次のループで新しい値が設定されるという流れが続きます。
このようにして、vecには0から始まって1ずつ増える数値が順に格納されることになり、たとえばvecの要素数が9であれば、0から8までの数値が1刻みで格納されます。
サンプルコード解説6: StopKeyPressed関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| ESCが押されたら「true」を返す |
//| PgDnが押されたら、グラフのスクリーンショットを撮り、「true」を返す |
//| その他の場合は「false」を返す |
//+------------------------------------------------------------------+
bool StopKeyPressed()
{
// --- ESCが押されたら「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPE) != 0)
return(true);
// --- PgDnが押されてグラフのスクリーンショットが正常に取得されたら、「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWN) != 0 && MakeAndSaveScreenshot(MQLInfoString(MQL_PROGRAM_NAME) + "_Screenshot"))
return(true);
// --- その他の場合は「false」を返す
return(false);
}
StopKeyPressed関数は、ESCキーやPgDnキーが押されたかどうかを検出し、特定の動作を行うためのカスタム関数です。この関数は、グラフ表示の終了条件を管理する重要な役割を持っています。
まず、TerminalInfoInteger関数を使用してESCキーの状態を確認しています。引数として、TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPEという識別子を指定しています。この識別子は、ESCキーの押下状態を取得するために使用され、キーが押されている場合には非ゼロの値が返されます。もし非ゼロが返された場合、関数はtrueを返し、スクリプト内でグラフの表示を終了させることができます。
次に、PgDnキーが押されているかどうかを確認しています。この場合もTerminalInfoInteger関数を使用しており、引数としてTERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWNという識別子を指定しています。この識別子は、PgDnキーの押下状態を取得するために使用され、押されていれば非ゼロが返されます。PgDnキーが押されているときには、さらにMakeAndSaveScreenshot関数を呼び出してスクリーンショットをファイルに保存します。
MakeAndSaveScreenshot関数には、スクリーンショットのファイル名を指定するための文字列が引数として渡されています。この文字列は、MQLInfoString関数を使用して生成されています。MQLInfoString関数の引数には、MQL_PROGRAM_NAMEという識別子が指定されており、これによって現在のスクリプト名が取得されます。スクリーンショットのファイル名には、このスクリプト名に「_Screenshot」という文字列を追加し、ファイルが保存されます。
スクリーンショットの保存に成功した場合にはtrueが返され、PgDnキーによる終了動作とスクリーンショットの保存が同時に行われます。いずれのキーも押されていない場合にはfalseが返され、スクリプトは実行を続行します。この構造により、ESCまたはPgDnが押されるまでグラフを表示し、必要に応じてスクリーンショットを保存してからスクリプトを終了する動作が可能になります。
サンプルコード解説7:CurvePlot関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| グラフオブジェクトを作成して曲線を描く |
//+------------------------------------------------------------------+
void CurvePlot(double& y_array[], const color colour)
{
// グラフオブジェクトを作成して設定
ExtGraph.Create(ChartID(), "Graphic", 0, 0, 0, GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// 曲線を描画(配列データを使い、指定色で曲線を描く)
ExtGraph.CurveAdd(y_array, y_array, ColorToARGB(colour), CURVE_LINES);
ExtGraph.IndentUp(30); // グラフ全体の位置を上に調整
ExtGraph.CurvePlotAll(); // 描画処理を実行
// ESCおよびPgDnの使用説明のテキストを追加
string text1 = "Press ESC to delete the graph and stop the script, or";
string text2 = "Press PgDn to create a screen, delete the graph and stop the script";
ExtGraph.TextAdd(54, 9, text1, ColorToARGB(clrBlack));
ExtGraph.TextAdd(54, 21, text2, ColorToARGB(clrBlack));
ExtGraph.Update(); // グラフとテキストを更新して表示
}
CurvePlot関数は、指定されたデータを使ってグラフに曲線を描画するオリジナルの関数です。この関数では、配列内のデータを利用して曲線をグラフ上に描き、さらにグラフの説明文を表示します。
まず、グラフを描画するためにグラフィックオブジェクトを作成しています。Createメソッドを使用して、グラフのID、表示位置、サイズ(幅と高さ)を設定し、チャート上にグラフの枠を用意します。
次に、CurveAddメソッドを使って、y_array配列に格納されたデータを曲線として描画します。この際、曲線の色はcolour引数で指定され、ここでは指定された色に変換して適用しています。また、曲線は「線」として描画する設定になっています。
その後、IndentUpメソッドでグラフ全体の位置を上に少し移動させ、CurvePlotAllメソッドを使って、曲線を描画する処理を確定します。これにより、配列内のデータに基づいた曲線がグラフ上に表示されます。
また、グラフの下部にはESCキーとPgDnキーの使用説明が表示されます。TextAddメソッドで、2行にわたってテキストを追加し、色も指定しています。最後にUpdateメソッドを呼び出して、グラフとテキストの更新を実行し、最終的なグラフが表示されます。
サンプルコード解説8:MakeAndSaveScreenshot関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリーンショットを撮り、画像をファイルに保存する |
//+------------------------------------------------------------------+
bool MakeAndSaveScreenshot(const string file_name)
{
string file_names[]; // ファイル名を格納する配列を定義
ResetLastError(); // エラー情報をリセット
// ファイル選択ダイアログを表示し、選択されたファイル数を取得
int selected = FileSelectDialog("Save Picture", NULL, "All files (*.*)|*.*", FSD_WRITE_FILE, file_names, file_name + ".png");
if (selected < 1) // ファイルが選択されなかった場合
{
if (selected < 0) // エラーが発生した場合、エラー内容を出力
PrintFormat("%s: FileSelectDialog() function returned error %d", __FUNCTION__, GetLastError());
return false;
}
// スクリーンショットを撮りファイルに保存
bool res = false; // 成功を示す変数を初期化
if (ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, false)) // チャートを一時的に非表示
res = ChartScreenShot(0, file_names[0], GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT); // スクリーンショットを撮影
ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, true); // チャートを再表示
return(res); // スクリーンショットの成功結果を返す
}
MakeAndSaveScreenshot関数は、スクリーンショットを撮影し、指定したファイル名で保存する機能を持っています。この関数は、ユーザーがPgDnキーを押した際に呼び出され、現在のチャートのスクリーンショットをファイルに保存する手順を実行します。
最初に、file_namesという空の文字列配列を作成しています。これは、ファイル選択ダイアログから選ばれたファイル名を格納するための配列です。また、ResetLastError関数を呼び出してエラー状態をリセットし、後の処理で発生するエラーが過去のエラーと混在しないようにします。
次に、FileSelectDialog関数を使って、ファイルの保存ダイアログを表示します。この関数の最初の引数にはダイアログタイトル(”Save Picture”)、次の引数にNULL、そしてファイルの種類として”All files (.)|.“を指定しています。
この”(.)|.“の形式は、ファイルダイアログでのファイルフィルターを設定するための書式です。
左側の(.)はフィルターの表示名で「すべてのファイル」を示し、右側の.はフィルターの実際の条件を指定しています。
これにより、ダイアログにすべてのファイルを表示するようになります。最後の引数には、デフォルトのファイル名として指定されたfile_nameに拡張子”.png”を追加した文字列を渡しています。FileSelectDialog関数が成功すると、選ばれたファイル名がfile_names配列に格納され、選択数が返されます。
ファイルが選択されなかった場合、またはエラーが発生した場合はfalseを返します。選択にエラーが発生した場合、GetLastError関数で取得したエラーコードをPrintFormat関数でエラーメッセージとして出力します。
スクリーンショットの保存処理では、まずChartSetInteger関数でチャート表示を一時的に非表示にします。引数には、チャート識別子として0、プロパティとしてCHART_SHOW、表示を無効にするためのfalseが指定されています。次に、ChartScreenShot関数を呼び出し、file_names配列の最初の要素に指定されたファイル名で、GRAPH_WIDTHとGRAPH_HEIGHTのサイズでスクリーンショットを保存します。最後にChartSetInteger関数でチャートを再表示します。
関数の戻り値として、スクリーンショットが正常に保存されたかどうかの成否が返されます。
MathLog10関数を使ってEAを作る際のアイディア
MathLog10関数は、数値データを対数スケールで扱う際に役立つため、価格データやインジケータの変動率を対数変換して分析する際に応用できます。
価格変動の度合いを対数で可視化することで、変動の大きさをより見やすくすることができます。例えば、通常の価格変動は大きな値で変動しやすい一方で、小さな価格変動は小さい値で変化するため、価格データを対数変換することで、異なる価格帯の変動の特徴を統一した尺度で比較しやすくなります。
インジケータの値を対数変換して、新たなシグナルを発見する方法も考えられます。特に、移動平均やボリンジャーバンドといったインジケータに適用すると、通常のスケールでは見過ごしがちな小さな変動や、異なるスケールでの大きな変動を捉えることができます。例えば、RSIの値を対数変換し、過去の変動パターンを分析することで、トレンド転換点をより正確に予測するモデルを構築することも可能です。
さらに、異なる通貨ペアや市場での変動率を対数変換して比較することで、特定の市場でのリスクの大きさやボラティリティの相対的な高さを評価するEAを作成することも考えられます。