- MathCosh関数の働き・役割
- 双曲線余弦とは
- MathCosh関数の引数について
- MathCosh関数の戻り値について
- MathCosh関数を使ったサンプルコード
- サンプルコード解説1: グローバル領域での定義
- サンプルコード解説2:OnStart関数の中その1
- サンプルコード解説3:OnStart関数の中その2
- サンプルコード解説4:OnStart関数部分その3
- サンプルコード解説5: StopKeyPressed関数(オリジナル関数)部分
- サンプルコード解説6:CurvePlot関数(オリジナル関数)部分
- サンプルコード解説7:MakeAndSaveScreenshot関数(オリジナル関数)部分
- MathCosh関数を使ってEAを作る際のアイディア
MathCosh関数の働き・役割
MathCosh関数は、指定した数値の双曲線余弦(ハイパーボリックコサイン)を計算し、その値を返すために使用されます。
双曲線余弦は、数学的な関数の一種で、MathCosh関数が返す値は、指定された数値が「双曲線」の上でどの位置にあるかを示すものです。具体的には、入力された数値に基づいた「双曲線の形に沿った変化量」を表しています。
双曲線余弦とは
双曲線余弦(ハイパーボリックコサイン)は、通常の余弦(円の動きを基にして値が0から1の間を行き来する関数)とは異なり、双曲線の形に関連した動きを表します。円が基になっている通常の余弦とは異なり、双曲線余弦は1以上の値をとり、入力する数が大きくなるほど値も急激に増加する特徴を持ちます。
双曲線余弦は cosh(コッシュ)とも呼ばれ、次の式で表されます。
cosh(x) = (e^x + e^(-x)) / 2
式の意味と「ネイピア数」eについて
式の中に登場する「e」は「ネイピア数」と呼ばれる特別な数で、約2.718の値を持ちます。ネイピア数e は自然対数の底(べき乗の計算において、掛け合わせる基準となる数)とされ、指数関数の増加や減少を自然に表現するため、物理や経済などでよく利用されます。
また、「^」は「べき乗」を意味し、e^x は「eをx回掛け合わせたもの」を指します。たとえば、e^2なら「eを2回掛けたもの」、e^3なら「eを3回掛けたもの」となります。また、e^(-x) では「-x」というマイナス記号があり、これは逆数を意味します。たとえば e^(-2) は「eの2乗分の1」、つまり「1/(e×e)」ということです。
計算の例
双曲線余弦の計算を、いくつかの具体的な x の値で行ってみます。
cosh(2) の計算
- x に 2 を代入します。
- e^2 は「e を2回掛けたもの」を意味し、e ≈ 2.718 なので、e^2 ≈ 2.718 × 2.718 ≈ 7.389 です。
- e^(-2) は「eの2乗分の1」を意味し、1 / (2.718 × 2.718) ≈ 0.135 です。
- この結果を cosh(2) = (e^2 + e^(-2)) / 2 の式に代入すると、cosh(2) ≈ (7.389 + 0.135) / 2 となります。
- 最後に計算すると、cosh(2) ≈ 7.524 / 2 ≈ 3.762 です。
cosh(1) の計算
- 次に、x に 1 を代入します。
- e^1 は「eの1乗」を意味し、e ≈ 2.718 です。1乗はその数自身になるため、e^1 ≈ 2.718 のままです。
- e^(-1) は e の逆数で、1 / e に相当します。したがって、1 / 2.718 ≈ 0.368 です。
- これらを cosh(1) = (e^1 + e^(-1)) / 2 の式に代入すると、cosh(1) ≈ (2.718 + 0.368) / 2 となります。
- 計算すると、cosh(1) ≈ 3.086 / 2 ≈ 1.543 です。
cosh(0) の計算
- 最後に特別な例として、x に 0 を代入します。
- e^0 は「eの0乗」を意味し、数の0乗は1になるので、e^0 = 1 です。これは、何も掛けないことで1が得られるためです。
- e^(-0) も同様に1です。
- これらを cosh(0) = (e^0 + e^(-0)) / 2 の式に代入すると、cosh(0) = (1 + 1) / 2 となります。
- 結果として、cosh(0) = 1 です。
このように、cosh(x) の値は x によって異なり、x が大きくなると急激に増加するのが特徴です。
MathCosh関数の引数について
double MathCosh(
double value // 数値
);
引数の詳細
MathCosh関数の戻り値について
MathCosh関数は、引数として指定された数値の双曲線余弦を計算し、その結果を返します。
MathCosh関数の戻り値は、指定した数値が双曲線上のどの位置にあるかを示す「双曲線余弦」の値です。値が大きくなるほど戻り値も大きくなり、数値の増加に応じて急激に増加します。
MathCosh関数を使ったサンプルコード
// グラフの幅と高さを定義します
#define GRAPH_WIDTH 750
#define GRAPH_HEIGHT 350
// グラフィック関連のライブラリをインクルードします
#include <Graphics\Graphic.mqh>
// グラフィック描画オブジェクトを宣言します
CGraphic ExtGraph;
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリプトプログラムの開始関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
{
// deltaベクトルを作成し、-1から2πまでの範囲で等間隔の101個の値を取得します
// Full関数は、指定された数の要素を指定した値で満たします
vector delta = vector::Full(101, 2 * M_PI / 100);
delta[0] = 0; // 開始点を0に設定
// deltaの値を累積して、-1から2πの間に等間隔に分割したX座標のベクトルXを作成します
vector X = delta.CumSum();
// Xの各値に対して双曲線余弦(cosh)を計算し、結果をYベクトルに格納します
vector Y = MathCosh(X);
// XとYのベクトルを配列に変換し、グラフ描画用に準備します
double x_array[], y_array[];
X.Swap(x_array); // Xベクトルの内容をx_array配列にコピー
Y.Swap(y_array); // Yベクトルの内容をy_array配列にコピー
// 計算されたX, Yの値を用いてグラフを描画します
CurvePlot(x_array, y_array, clrDodgerBlue);
// ESCキーまたはPgDnキーが押されるまで待機し、終了するループ
while (!IsStopped())
{
// 停止キー(ESCまたはPgDn)が押された場合、ループを抜けます
if (StopKeyPressed())
break;
// 16ミリ秒待機してから再度チェックします(約60FPSでループ)
Sleep(16);
}
// グラフィックオブジェクトを削除してメモリを解放します
ExtGraph.Destroy();
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| 停止キーが押されたかを確認し、結果を返します |
//+------------------------------------------------------------------+
bool StopKeyPressed()
{
// ESCキーが押された場合はtrueを返します
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPE) != 0)
return (true);
// PgDnキーが押され、スクリーンショットが正常に保存された場合はtrueを返します
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWN) != 0 && MakeAndSaveScreenshot(MQLInfoString(MQL_PROGRAM_NAME) + "_Screenshot"))
return (true);
// ESCまたはPgDn以外が押された場合はfalseを返します
return (false);
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| グラフオブジェクトを作成し、指定されたX, Yデータで曲線を描きます |
//+------------------------------------------------------------------+
void CurvePlot(double &x_array[], double &y_array[], const color colour)
{
// グラフオブジェクトを作成し、描画範囲と位置を設定します
ExtGraph.Create(ChartID(), "Graphic", 0, 0, 0, GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// カーブを追加し、色とスタイルを指定します
ExtGraph.CurveAdd(x_array, y_array, ColorToARGB(colour), CURVE_LINES);
// 描画の余白を設定します
ExtGraph.IndentUp(30);
// 全てのカーブを描画します
ExtGraph.CurvePlotAll();
// 画面に表示するテキストを設定し、描画します
string text1 = "Press ESC to delete the graph and stop the script, or";
string text2 = "Press PgDn to create a screen, delete the graph and stop the script";
ExtGraph.TextAdd(54, 9, text1, ColorToARGB(clrBlack)); // テキスト1を追加
ExtGraph.TextAdd(54, 21, text2, ColorToARGB(clrBlack)); // テキスト2を追加
// グラフィックオブジェクトを更新して画面に反映させます
ExtGraph.Update();
}
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリーンショットを撮影し、ファイルに保存する関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
bool MakeAndSaveScreenshot(const string file_name)
{
// ファイル名の配列を初期化します
string file_names[];
ResetLastError(); // エラー情報をリセット
// ファイル選択ダイアログを表示し、保存先のファイル名を取得します
int selected = FileSelectDialog("Save Picture", NULL, "All files (*.*)|*.*", FSD_WRITE_FILE, file_names, file_name + ".png");
// ダイアログがキャンセルされた、もしくはエラーが発生した場合
if (selected < 1)
{
// エラーが発生した場合は、エラーメッセージをエキスパートログに出力します
if (selected < 0)
PrintFormat("%s: FileSelectDialog() function returned error %d", __FUNCTION__, GetLastError());
return false; // 保存処理を失敗として終了
}
// スクリーンショットを撮影し、ファイルに保存します
bool res = false;
if (ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, false)) // チャートを非表示にしてスクリーンショットを撮影
res = ChartScreenShot(0, file_names[0], GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// チャートを再表示します
ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, true);
return res; // 成功または失敗の結果を返します
}
このコードは、-1から2πまでの範囲の値を取り、その各値の双曲線余弦(cosh)を計算し、計算結果をグラフとして描画します。表示されたグラフは、ユーザーがESCキーを押すと削除されてスクリプトが終了します。また、PgDnキーを押すとスクリーンショットが撮影されて保存され、同様にグラフが削除されて終了します。
サンプルコード解説1: グローバル領域での定義
#define GRAPH_WIDTH 750 // グラフの幅を設定
#define GRAPH_HEIGHT 350 // グラフの高さを設定
#include <Graphics\Graphic.mqh> // グラフィック描画用のライブラリをインクルード
CGraphic ExtGraph; // CGraphicクラスのインスタンスを作成
定義の詳細
グラフの幅と高さの定義
グラフの幅を750ピクセル(デジタル画像を構成する最小の単位)に、グラフの高さを350ピクセルに設定しています。defineディレクティブを使用して定数を定義することで、コード内でこれらの値を使用する際に簡単に参照できるようになります。
グラフィックライブラリのインクルード
includeディレクティブを使用して、グラフィック関連の機能を提供するライブラリファイル「Graphic.mqh」をインクルードしています。このライブラリには、グラフの描画や曲線の追加など、グラフィック操作に必要な関数やクラスが定義されています。
グラフィックオブジェクトの作成
CGraphicクラスのインスタンスであるExtGraphオブジェクトを作成しています。このインスタンスは、グラフの描画や操作に使用されます。
クラスはオブジェクト指向プログラミングの基本要素であり、特定の機能を持つオブジェクト(変数や配列など)を作成するためのテンプレートです。
サンプルコード解説2:OnStart関数の中その1
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリプトプログラムの開始関数 |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
{
// deltaベクトルを作成し、-1から2πまでの範囲で等間隔の101個の値を取得します
// Full関数は、指定された数の要素を指定した値で満たします
vector delta = vector::Full(101, 2 * M_PI / 100);
delta[0] = 0; // 開始点を0に設定
// deltaの値を累積して、-1から2πの間に等間隔に分割したX座標のベクトルXを作成します
vector X = delta.CumSum();
// Xの各値に対して双曲線余弦(cosh)を計算し、結果をYベクトルに格納します
vector Y = MathCosh(X);
上記のコードは、双曲線余弦の計算を行う準備をする部分です。OnStart関数内で、-1から2πまでの範囲で101個の等間隔の値を生成し、その値に基づいた双曲線余弦を計算するためのベクトルを作成しています。具体的な流れは次の通りです。
まず、vector::Fullメソッドを使用して「delta」ベクトルを作成します。ここで、101個の要素を「2πを100分割した値」で満たし、等間隔に数値が並ぶようにしています。この delta ベクトルの 0 番目の要素には「0」が設定され、開始点を明示しています。
次に、deltaベクトルの値を累積していくことで、-1から2πの範囲内で等間隔の値を持つ「X」ベクトルを作成します。CumSumメソッドにより、deltaベクトルの各要素を順次加算し、累積和を持つX座標を生成しています。このXベクトルには、双曲線余弦を計算するための基準値が格納されています。
最後に、Xベクトルの各要素に対して双曲線余弦(cosh)を計算し、その結果をYベクトルに格納します。
サンプルコード解説3:OnStart関数の中その2
// ベクトルの計算結果を配列に転送
double x_array[],y_array[];
X.Swap(x_array); // Xベクトルの値をx_array配列に転送
Y.Swap(y_array); // Yベクトルの値をy_array配列に転送
// 計算結果をもとに、グラフを描画する
CurvePlot(x_array, y_array, clrDodgerBlue);
このセクションでは、ベクトルの計算結果を配列に転送し、グラフを描画する手順について解説します。
まず、x_arrayおよびy_arrayと宣言し、x座標とy座標の値を保持する配列を用意しています。次に、XベクトルとYベクトルの計算結果を、それぞれx_arrayとy_arrayという配列に転送しています。この転送にはSwapメソッドが使用され、これによってXベクトルの内容がx_array配列に、Yベクトルの内容がy_array配列に簡単にコピーされます。
その後、CurvePlot関数を使用して、x_arrayとy_arrayの値をもとにグラフを描画しています。CurvePlot関数の引数には描画するデータの配列であるx_arrayとy_array、および色指定のためのclrDodgerBlueが渡され、指定された色でグラフが描かれます。
サンプルコード解説4:OnStart関数部分その3
//--- EscapeキーまたはPgDnキーを押してグラフを削除し、終了するまで待機
while (!IsStopped())
{
if (StopKeyPressed()) // 停止ボタンが押されているかを確認
break;
Sleep(16); // 16ミリ秒待機してから次のループへ
}
//--- グラフィックのクリーンアップ
ExtGraph.Destroy(); // ExtGraphオブジェクトを削除してメモリを解放
}
この部分のコードは、グラフを表示させたまま、ESCキーまたはPgDnキーが押されるのを待機する処理です。
まず、while文でループを開始し、スクリプトが停止されていない間、つまりIsStopped関数がfalseを返す間はループが続きます。ループの中でStopKeyPressed関数が呼ばれ、ESCキーまたはPgDnキーが押されたかを確認します。もし、いずれかのキーが押されている場合、break文によってループを抜け、待機処理を終了します。これにより、ユーザーが任意のタイミングでグラフの表示を終了できるようになっています。
ループ内でSleep関数が16ミリ秒の待機を挟むことで、CPU負荷を軽減しながらキーの入力を定期的に確認します。待機処理が終了すると、グラフのクリーンアップに移ります。ExtGraphインスタンスに対してDestroyメソッドを呼び出し、グラフを破棄して使用していたメモリを解放します。これにより、スクリプトの終了時にリソースが適切に解放されます。
サンプルコード解説5: StopKeyPressed関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| ESCが押されたら「true」を返す |
//| PgDnが押されたら、グラフのスクリーンショットを撮り、「true」を返す |
//| その他の場合は「false」を返す |
//+------------------------------------------------------------------+
bool StopKeyPressed()
{
// --- ESCが押されたら「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPE) != 0)
return(true);
// --- PgDnが押されてグラフのスクリーンショットが正常に取得されたら、「true」を返す
if (TerminalInfoInteger(TERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWN) != 0 && MakeAndSaveScreenshot(MQLInfoString(MQL_PROGRAM_NAME) + "_Screenshot"))
return(true);
// --- その他の場合は「false」を返す
return(false);
}
StopKeyPressed関数は、ESCキーやPgDnキーが押されたかどうかを検出し、特定の動作を行うためのカスタム関数です。この関数は、グラフ表示の終了条件を管理する重要な役割を持っています。
まず、TerminalInfoInteger関数を使用してESCキーの状態を確認しています。引数として、TERMINAL_KEYSTATE_ESCAPEという識別子を指定しています。この識別子は、ESCキーの押下状態を取得するために使用され、キーが押されている場合には非ゼロの値が返されます。もし非ゼロが返された場合、関数はtrueを返し、スクリプト内でグラフの表示を終了させることができます。
次に、PgDnキーが押されているかどうかを確認しています。この場合もTerminalInfoInteger関数を使用しており、引数としてTERMINAL_KEYSTATE_PAGEDOWNという識別子を指定しています。この識別子は、PgDnキーの押下状態を取得するために使用され、押されていれば非ゼロが返されます。PgDnキーが押されているときには、さらにMakeAndSaveScreenshot関数を呼び出してスクリーンショットをファイルに保存します。
MakeAndSaveScreenshot関数には、スクリーンショットのファイル名を指定するための文字列が引数として渡されています。この文字列は、MQLInfoString関数を使用して生成されています。MQLInfoString関数の引数には、MQL_PROGRAM_NAMEという識別子が指定されており、これによって現在のスクリプト名が取得されます。スクリーンショットのファイル名には、このスクリプト名に「_Screenshot」という文字列を追加し、ファイルが保存されます。
スクリーンショットの保存に成功した場合にはtrueが返され、PgDnキーによる終了動作とスクリーンショットの保存が同時に行われます。いずれのキーも押されていない場合にはfalseが返され、スクリプトは実行を続行します。この構造により、ESCまたはPgDnが押されるまでグラフを表示し、必要に応じてスクリーンショットを保存してからスクリプトを終了する動作が可能になります。
サンプルコード解説6:CurvePlot関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| グラフオブジェクトを作成して曲線を描画 |
//+------------------------------------------------------------------+
void CurvePlot(double &x_array[], double &y_array[], const color colour)
{
// グラフオブジェクトを作成(チャートID、名前、座標などを設定)
ExtGraph.Create(ChartID(), "Graphic", 0, 0, 0, GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// カーブ(曲線)を追加し、色とラインの種類を指定
ExtGraph.CurveAdd(x_array, y_array, ColorToARGB(colour), CURVE_LINES);
// テキストのインデント位置を少し上に設定
ExtGraph.IndentUp(30);
// すべての曲線を描画
ExtGraph.CurvePlotAll();
// ESCキーとPgDnキーに関する操作方法の説明を追加
string text1 = "Press ESC to delete the graph and stop the script, or";
string text2 = "Press PgDn to create a screen, delete the graph and stop the script";
ExtGraph.TextAdd(54, 9, text1, ColorToARGB(clrBlack));
ExtGraph.TextAdd(54, 21, text2, ColorToARGB(clrBlack));
// グラフの更新
ExtGraph.Update();
}
CurvePlot関数は、渡された配列データをもとにグラフを作成し、指定した色で曲線を描画するためのカスタム関数です。この関数には、x軸とy軸のデータ配列、および曲線の色を指定するための引数が含まれています。
最初に、ExtGraphインスタンスのCreateメソッドを使用してグラフを作成しています。Createメソッドの引数には、ChartID、グラフの名前(”Graphic”)、座標(0, 0)、および幅と高さ(GRAPH_WIDTHとGRAPH_HEIGHT)が指定されています。ChartID関数は、現在のチャートIDを取得する関数で、これにより生成されたグラフは現在のチャートに描画されます。
次に、ExtGraphインスタンスのCurveAddメソッドを使用して、x軸とy軸の配列データをもとに曲線を追加します。CurveAddメソッドの引数には、x_arrayとy_arrayの配列、指定した色をARGB形式に変換するためのColorToARGB関数、そして曲線のスタイル(CURVE_LINES)が渡されています。この処理によって、指定の色とスタイルで曲線が描画されます。
続いて、IndentUpメソッドを使用してグラフの上部に30ピクセル(デジタル画像を構成する最小の単位)の空白を追加しています。これにより、グラフ上に余白が確保され、グラフが画面に適切に配置されるようになります。
その後、CurvePlotAllメソッドを使用して、追加した曲線をグラフに描画しています。
さらに、グラフの操作方法についての説明文を追加しています。text1およびtext2という文字列には、それぞれ「ESCキーでグラフを削除してスクリプトを停止する」「PgDnキーでスクリーンショットを作成してからグラフを削除し、スクリプトを停止する」という内容の説明が含まれています。TextAddメソッドを使って、これらのテキストを画面の指定位置(x=54, y=9 と x=54, y=21)に描画し、説明が表示されるようにしています。
また、色の指定にはColorToARGB関数を使用しています。ColorToARGB関数は、指定された色をARGB(Alpha、Red、Green、Blue)形式に変換し、透過度や色の設定が反映されるようにします。これにより、TextAddメソッドで追加するテキストや曲線が指定の色で正しく表示されます。
最後に、Updateメソッドを呼び出してグラフの描画を更新し、設定したデータやテキストを反映させます。この一連の処理により、x軸とy軸のデータに基づく曲線が描画され、操作の説明が表示されたグラフが完成します。
サンプルコード解説7:MakeAndSaveScreenshot関数(オリジナル関数)部分
//+------------------------------------------------------------------+
//| スクリーンショットを撮り、画像をファイルに保存する |
//+------------------------------------------------------------------+
bool MakeAndSaveScreenshot(const string file_name)
{
string file_names[]; // ファイル名を格納するための配列を初期化
ResetLastError(); // 最後のエラーをリセット
// ファイル保存用のダイアログを表示し、選択されたファイルを取得
int selected = FileSelectDialog("Save Picture", NULL, "All files (*.*)|*.*", FSD_WRITE_FILE, file_names, file_name + ".png");
if (selected < 1)
{
// ファイル選択エラーが発生した場合の処理
if (selected < 0)
PrintFormat("%s: FileSelectDialog() function returned error %d", __FUNCTION__, GetLastError());
return false; // エラー時はfalseを返す
}
bool res = false; // 成功判定の変数
// 一時的にチャート表示を無効化し、スクリーンショットを撮影
if (ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, false))
res = ChartScreenShot(0, file_names[0], GRAPH_WIDTH, GRAPH_HEIGHT);
// チャート表示を再度有効に設定
ChartSetInteger(0, CHART_SHOW, true);
return (res); // スクリーンショットが正常に保存できた場合はtrueを返す
}
MakeAndSaveScreenshot関数は、スクリーンショットを撮影し、指定したファイル名で保存する機能を持っています。この関数は、ユーザーがPgDnキーを押した際に呼び出され、現在のチャートのスクリーンショットをファイルに保存する手順を実行します。
最初に、file_namesという空の文字列配列を作成しています。これは、ファイル選択ダイアログから選ばれたファイル名を格納するための配列です。また、ResetLastError関数を呼び出してエラー状態をリセットし、後の処理で発生するエラーが過去のエラーと混在しないようにします。
次に、FileSelectDialog関数を使って、ファイルの保存ダイアログを表示します。この関数の最初の引数にはダイアログタイトル(”Save Picture”)、次の引数にNULL、そしてファイルの種類として”All files (.)|.“を指定しています。
この”(.)|.“の形式は、ファイルダイアログでのファイルフィルターを設定するための書式です。
左側の(.)はフィルターの表示名で「すべてのファイル」を示し、右側の.はフィルターの実際の条件を指定しています。
これにより、ダイアログにすべてのファイルを表示するようになります。最後の引数には、デフォルトのファイル名として指定されたfile_nameに拡張子”.png”を追加した文字列を渡しています。FileSelectDialog関数が成功すると、選ばれたファイル名がfile_names配列に格納され、選択数が返されます。
ファイルが選択されなかった場合、またはエラーが発生した場合はfalseを返します。選択にエラーが発生した場合、GetLastError関数で取得したエラーコードをPrintFormat関数でエラーメッセージとして出力します。
スクリーンショットの保存処理では、まずChartSetInteger関数でチャート表示を一時的に非表示にします。引数には、チャート識別子として0、プロパティとしてCHART_SHOW、表示を無効にするためのfalseが指定されています。次に、ChartScreenShot関数を呼び出し、file_names配列の最初の要素に指定されたファイル名で、GRAPH_WIDTHとGRAPH_HEIGHTのサイズでスクリーンショットを保存します。最後にChartSetInteger関数でチャートを再表示します。
関数の戻り値として、スクリーンショットが正常に保存されたかどうかの成否が返されます。
MathCosh関数を使ってEAを作る際のアイディア
MathCosh関数は、双曲線余弦を計算するため、通常の価格変動やトレンドを直接的に解析するものではありませんが、特定の条件下での計算やエッジ(優位性)のある取引システムの構築に役立つ可能性があります。以下にいくつかの応用アイディアを紹介します。
- 特殊な価格変動のフィルタリング
MathCosh関数は急激な増減を捉えるための指標として利用できるため、価格変動の急なスパイク(突発的な上昇や下降)をフィルタリングするシステムに応用できます。例えば、一定の価格範囲を超える急な変動に対してMathCosh関数を適用し、変動の急激さを検知してトレードを調整する仕組みが考えられます。 - リスク管理システムへの組み込み
双曲線余弦は数値が大きくなるほど指数的に増加するため、リスク管理における非線形(直線的ではない)のポジションサイズ制御などに活用できます。価格の変動が大きい局面でMathCosh関数を使ってポジションサイズを制御し、変動が緩やかなときには大きなポジション、急激な変動時には小さなポジションをとるリスク管理システムを構築できます。 - 価格データの変動を使ったトレンド検出
MathCosh関数を用いて過去の価格データの変動度を計測し、トレンドが形成される前兆や反転の可能性を検知することができます。特に、値動きが急激に増加するタイミングでMathCosh関数の計算値が急上昇することを利用し、その変化をトレンド指標の一つとして扱う方法が考えられます。 - アルゴリズムによる自動売買ロジックへの活用
MathCosh関数を使い、価格変動の幅に応じた取引条件を組み込むことで、価格が一定の閾値しきい値。判断基準となる特定の値)を超えた場合にのみ売買を行うような自動売買ロジックが可能です。このようなロジックでは、変動が大きい相場でのエントリーを抑えつつ、トレンドの加速や相場の反転時に反応するエキスパートアドバイザー(EA)を作ることができます。